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「悪筆〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

悪筆の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
虚構の春」より 著者:太宰治
れて、細くまた太く、ひょろひょろ小粒が駈けまわり、突如、牛ほどの岩石の落下、この悪筆、乱筆には、われながら驚き呆れて居ります。創刊第一号から、こんな手違いを起し....
満韓ところどころ」より 著者:夏目漱石
ばならなくなった。 同情してくれる人はだいぶあると思うから白状するが、旅をして悪筆を懇望《こんもう》されるほど厄介《やっかい》な事はない。それも句作に熱心で壁....
幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
と云っても好い、多分怪美人が自分で書いたので有ろう、仲々電報の頼信紙に在った様な悪筆では無い、余は猶帳場の者に少し鼻薬を遣り此の客帳は誰が記けたと問い、果して怪....
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
のビラを書いたりして居る。「さあ此方へ」と招かれる。ビラを書いてくれと云う。例の悪筆を申立てゝ逃げる。 拝殿から見下ろすと、驚く可し、東向きのだら/\坂になっ....
傾城買虎之巻」より 著者:直木三十五
つけて、定紋付きの調度一揃え、 「初店瀬川」 と改良半紙二枚を飯粒でつないで、悪筆を振ったのを、欄間へ張る。――とにかく店を張る事になったが、瀬川の心の中では....
斗南先生」より 著者:中島敦
と思い出した。その冗談めいた自嘲の調子が彼の注意を惹いたものであろうか。 悪詩悪筆 自欺欺人 億千万劫 不免蛇身 口の中で、しばらくこれを繰返しながら、三....
踊る地平線」より 著者:谷譲次
るのだ。素早く僕は宛名に眼を通し出したが、急いでるのと、何しろどれもこれも非道い悪筆のうえに、おまけに得態の知れない外国語がおもなので、名前だけでも容易に読めな....
年賀状」より 著者:寺田寅彦
の筆端からほとばしり出る曲折自在な線の美に陶酔する事もあろうが、彼のごとき生来の悪筆ではそれだけの代償はないから、全然お勤めの機械的労働であると思われる上に、自....
源氏物語」より 著者:紫式部
は童子どもが山に捜して御仏にささげたものです、初物です。 とも書かれてあった。悪筆で次の歌などは大形に一字ずつ離して書いてある。 君にとてあまたの年をつみしか....
録音集」より 著者:豊島与志雄
の調査によれば、教養の程度をぬきにして、単に筆蹟の巧拙だけから見る時、美婦は多く悪筆で、醜婦は多く美筆であって、その点右と同様の反比をなし、例外もほぼ二十パーセ....
書について」より 著者:高村光太郎
この頃は書道がひどく流行して来て、世の中に悪筆が横行している。なまじっか習った能筆風な無性格の書や、擬態の書や、逆にわざわ....
式部小路」より 著者:泉鏡花
、どうかその医学上の講釈を聞くのと、手習を教えてくれだけはあやまる。私は藪の上に悪筆だ、)というたのだそうです。 またきっと、心臓というものはどこにあるの、な....
小学教育の事」より 著者:福沢諭吉
となし、干鰯《ほしか》の仕切《しきり》に楷書を見たることなし、世間日用の文書は、悪筆にても骨なしにても、草書ばかりを用うるをいかんせん。しかのみならず、大根の文....
私の履歴書」より 著者:浅沼稲次郎
令受領書に署名を強要され、やむなく浅沼稲次郎と書き拇印を押したが、怒りにふるえた悪筆の署名文字がいまだに印象に残っている。昔から三日天下という言葉があるが農民労....