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「悪路〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

悪路の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
本の鉛筆とを潜まして。 家を出ると往来には漁夫たちや、女でめん積み載せて、その悪路を引っぱって来た一人の年配な内儀さんは、君を認めると、引き綱をゆるめて腰を延....
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
突然病死したのである。彼は父の愛子であった。 連日の雪や雨にさながら沼になった悪路に足駄を踏み込み/\、彼等夫妻は鉛の様に重い心で次郎さんの家に往った。 禾....
冬日記」より 著者:原民喜
。家を出て電車で二十分、ここまで来ただけで、もうそんなに疲労するのだったが(荒天悪路だ、この坂を往かねばならぬのだ)と、彼は使い慣れぬ筋肉を酷使するように、速い....
石狩川」より 著者:本庄陸男
を蔽《おお》った。青い草の海は逆巻くのだ。行く手にふさがる樹林や丘陵は測りがたい悪路を示していた。 「日も傾きはじめた」と云うのは戸田老人であった。真実行く手の....
半島一奇抄」より 著者:泉鏡花
た交通の不便な処でございましてな、地図をちょっと御覧なすっても分りますが、絶所、悪路の記号という、あのパチパチッとした線香花火が、つい頭の上の山々を飛び廻ってい....
遠野へ」より 著者:水野葉舟
けてからだそうだ。」――この頃は、もう少しずつ雪が解けはじめたので、途中が非常な悪路だと聞いた。私は今日の道の困難なことを想像しながら、右の文句をはがきに書いた....
田村将軍」より 著者:楠山正雄
麻呂はこの勢いに乗って、達谷の窟という大きな岩屋の中にかくれている、高丸の仲間の悪路王という荒えびすをもついでに攻め殺してしまいました。 三 田村麻....
発掘した美女」より 著者:坂口安吾
だかねばなりません。相当の山道ですよ」 バスが運転中止というだけあって、大変な悪路であった。バスのタイヤの跡が一尺以上めりこんでいる。車の速力よりも歩く方が速....
自警録」より 著者:新渡戸稲造
輩が歩いた道のことを詳《くわ》しく知らぬ人が、よその人から聞いて、この道は非常に悪路である、嶮岨《けんそ》だとか、危険の多い道だとか信じている人は、わずか十里な....
種山ヶ原」より 著者:宮沢賢治
チカチぶっつかったぐらいだ。 ホウ、そら、やれ、 むかし 達谷《たっこく》の悪路王《あくろおう》、 まっくらぁくらの二里の洞《ほら》、 渡《わた》るは 夢《....
三国志」より 著者:吉川英治
を救うべく、大挙急いできた魏の援軍は、猛勇王双を先鋒として、折から真冬の猛寒も、悪路|山嶮もものかは、昼夜、道をいそいで、刻々急行軍を続けつつあった。 それを....
私本太平記」より 著者:吉川英治
。 高徳は、なお説いた。 「――播州備州の境、帆坂、船坂の二つ峠は山陽道第一の悪路です。輦輿の人馬もそこでは行きなやむにちがいなく、かつはみな東国勢のこと、道....
随筆 私本太平記」より 著者:吉川英治
な人間どもが反骨を養うには恰好な地の利であった所にはちがいない。 案のじょう、悪路のために、二時間ぢかくも途中で遅れ、やっと目的地の梅迫に着いた。やれやれとい....
山の人生」より 著者:柳田国男
ム(赤人)の警を伝えた時、多くの東北人にはそれが意外とも響かなかったのは、古来の悪路王や大竹丸の同類に、赤頭太郎などと称して赤い大人が、たくさんにきたという話を....
黒田如水」より 著者:吉川英治
てしまった。 山地へ向って行くほど、秋の色は深く、急に季節を覚え出した。途々の悪路には、輜重の車馬が踏みあらした轍が深く刻まれている。到るところ柵の破壊された....