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悪酒
「悪酒〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
悪酒の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
いた。けれども新らしい着物などは誰一人滅多に造らなかった。父は常に客にも出されぬ
悪酒の晩酌に甘んじていた。母もやはり羽織の下にはぎだらけの帯を隠していた。信輔も....
「変なあたま」より 著者:辻潤
の湯」に還元されてしまうらしい。自分には今のところ場末の酒場でスベタ女給を相手に
悪酒に泥酔する能力さえなくなってしまっているのである。ひるがえって飢餓に瀕してい....
「深夜の市長」より 著者:海野十三
不思議な科学者|速水輪太郎が住んでいる筈だった。そして十銭|洋酒店「ブレーキ」の
悪酒に酔いしれた、妖艶な年増女の二の腕に書きつけて置いた奇怪なる案内図は、いま目....
「灯明之巻」より 著者:泉鏡花
られて、少年等が、別の世、別の都、別の町、あやしきかくれ里へ攫われて行きそうで、
悪酒に酔ったように、凡杯の胸は塞った。 自動車たるべきものが、スピイドを何とし....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
で、危険性は持っていないが、隙《ひま》があれば酒を飲みたがり、その酒は地酒でも、
悪酒でも、焼酎でも、振舞酒でも、自腹でもなんでもかまわず、飲ませる者があり、飲む....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
擦《あてこす》りをするわけでもなんでもないが、一流の店ともあろうものが、こういう
悪酒を作って売り出させようとする手段を卑しむのは、少しも無理がない。ところがそれ....
「千世子(二)」より 著者:宮本百合子
人だったから好い様だったけれ共その夫《おっと》になくなられて後このクタクタな年中
悪酒に酔わされて居る様な頭の大伯母が一人で自分の老後の掛り児をなみなみに仕上げ様....
「太宰治情死考」より 著者:坂口安吾
ストリは飲まないようであった。 武田麟太郎がメチルで死んだ。あのときから、私も
悪酒をつゝしむ気風になったが、おかげでウイスキー屋の借金がかさんで苦しんだもので....
「街はふるさと」より 著者:坂口安吾
わからんそうだがね。とにかく一撃のもとにノビたんで、かえって良かったんだそうだ。
悪酒の酔いは、ノビたぐらいじゃ醒めないそうだぜ」 放二の頭には、キッピイの謎の....
「明日は天気になれ」より 著者:坂口安吾
働けど女房に軽蔑され、また常に失恋しつつある人物にいたく同情をかい、彼の無尽蔵の
悪酒をジャンジャン提供されて元日を迎えたのである。 元日も朝から晩まで飲んだア....
「悪因縁の怨」より 著者:江見水蔭
るところを、肴は骨までしゃぶッて、瓢箪は一滴を留めずは情け無い。と云って、羽田の
悪酒を詰めるでもありませんから、船中では有の実でも噛りましょう。食いさしを川の中....
「海豚と河豚」より 著者:佐藤垢石
りも味は劣ると思う。鰭は、鰭酒をつくる。昔から、河豚の鰭を焼いて酒中に投ずれば、
悪酒変じて良酒になると言われているくらいであるから、よほど魔力を持っているに違い....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
たわけで、それきりになったのですが、あと十何年、不意に、また間淵洞斎に出会って、
悪酒にあてられた事を申しました。―― それは、白山の家を出て、入費のかからない....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
も、追いまくして引き揚げた。 「これで少しは、日ごろの胸のつかえが下がったわい」
悪酒を仰飲ッた一気の酔いに淋漓たる鬼のように、こういったのは無思慮な血気や、軽輩....