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「悪阻〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

悪阻の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
あらくれ」より 著者:徳田秋声
かり出て勘定の滞っているのが、其方《そっち》にも此方《こっち》にも発見せられた。悪阻《つわり》などのために、夏中|動《やや》もするとお島は店へも顔を出さず、二階....
或る女」より 著者:有島武郎
うのないさびしさはいや増すばかりだった。葉子はふと定子を懐妊していた時のはげしい悪阻《つわり》の苦痛を思い出した。それはおりから痛ましい回想だった。……定子……....
道草」より 著者:夏目漱石
。その二度目の妻が病気の時、彼は大して心配の様子もなく能《よ》く出歩いた。病症が悪阻《つわり》だから大丈夫という安心もあるらしく見えたが、容体《ようだい》が険悪....
浮動する地価」より 著者:黒島伝治
、うるさく、若者や娘のある家々を歩きまわっていた。 トシエは、家へ来た翌日から悪阻で苦るしんだ。蛙が、夜がな夜ッぴて水田でやかましく鳴き騒いでいた。夏が近づい....
源氏物語」より 著者:紫式部
はますます藤壺の宮にそそがれるばかりであった。少しお腹《なか》がふっくりとなって悪阻《つわり》の悩みに顔の少しお痩《や》せになった宮のお美しさは、前よりも増した....
源氏物語」より 著者:紫式部
かというような疑いをお覚えになりながら、それをくわしく聞こうとはされないで、ただ悪阻に悩む人の若い可憐な姿に愛を覚えておいでになった。やっと思い立っておいでにな....
源氏物語」より 著者:紫式部
新女御を院が御|寵愛あそばすことは月日とともに深くなった。七月からは妊娠をした。悪阻に悩んでいる新女御の姿もまた美しい。世の中の男が騒いだのはもっともである、こ....
幻の彼方」より 著者:豊島与志雄
えた。 「ではどうしたんだい。」 彼女は暫く考えていたが、低い声で云った。 「悪阻《つわり》のような気がします。」 「え、悪阻!」 順造は飛び上らんばかりに....
神棚」より 著者:豊島与志雄
《ふたつき》見る物を見ないというのも、母の病気や死亡の感動のせいかも知れないし、悪阻《つわり》だってないんだし……と俺は思ったが、悪阻がないことだってある、と彼....
話の種」より 著者:寺田寅彦
も昔から壁土や土器をかじる子供があるが、他人種でもやはり胃病やヒステリーあるいは悪阻のために土を食いたがる者が往々あるそうである。南アメリカの一部では土人のみか....
経帷子の秘密」より 著者:岡本綺堂
も付いたのかと、お峰はすぐに駕籠を飛ばせてゆくと、お妻の様子は常に変らなかった。悪阻の軽かったかれは、ほとんど臨月の姙婦とは見えないほどにすこやかであった。その....
」より 著者:犬田卯
あった。厄介な存在がまた一人殖える――いまやそれが確定的だったのだ。健康な彼女は悪阻に悩むようなことはまず無いと言ってよかったのであるが、それにしてもさすがに自....
呪われの家」より 著者:小酒井不木
糞壺の中に、嘔いた物が沢山ありました」 「君はそれをどう思う?」 「妊娠した女の悪阻と考えます」 「いかにも立派な推定だ。被害者は妊娠三ヶ月だというから悪阻に悩....
澪標」より 著者:外村繁
んな私を一寸緊張させたことが起った。妻の体にまたまた異常を来したのである。今度は悪阻《つわり》も殊の他に強い。私は医者に行くことを進める。とく子は頑として聞き入....
美人鷹匠」より 著者:大倉燁子
気の利いた賢い娘だったので彼女も愛していたが、夫にも大変気に入っていた。小夜子は悪阻のあとの衰弱がひどかったので、暫時箱根の別荘に静養していたその留守の間に、花....