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悲傷
「悲傷〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
悲傷の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「旧主人」より 著者:島崎藤村
顔の女では有りましたが、調子の女らしい、節の凄婉《あわれ》な、凄婉なというよりは
悲傷《いたま》しい、それを清《すず》しい哀《かな》しい声で歌いましたのです。世間....
「道標」より 著者:宮本百合子
みこむどころか息さえつまった。伸子の悲しみは体じゅうだった。その体に風が吹いても
悲傷が鳴った。
喪服をつけるというようなことを思いつきもしなかった伸子は、相か....
「現代の心をこめて」より 著者:宮本百合子
を生きる我々は、歴史の明暗の全面に全心をもってふれ、希望をまもり、生きぬくことで
悲傷さえも人類の宝となし得る人間の豊富さに達したいという切な願いを覚えさせる本なのである。〔一九三九年六月〕....
「詩の原理」より 著者:萩原朔太郎
》に於ける兵士の軍歌(雪の進軍と、此処《ここ》は御国を何百里)が、歌曲共に、哀調
悲傷を極めているに見ても解る。一方でドイツの軍歌「ラインの守」が、いかにリズミカ....
「音楽の民族性と諷刺」より 著者:宮本百合子
震える調子は、アメリカの諷刺作家であったマーク・トゥウエンの作品などと全く異った
悲傷な諷刺をつくり出している。マーク・トゥウエンの諷刺は、その基調に何と云っても....
「春桃」より 著者:宮本百合子
ない場所をしめている。「稲草人」「古代英雄の石像」などが、中国文学史の上で中国の
悲傷、誠意、人民の惨苦への愛と民衆創造の希望を象徴した作品として、高く評価され記....
「作家の経験」より 著者:宮本百合子
情勢で、日本の文学がほとんどまったく侵略戦争のローラーにひしがれたということを、
悲傷をもって経験している。プロレタリア文学の運動がはじまったころ、文学の純粋性を....
「一九四六年の文壇」より 著者:宮本百合子
まれず、かえって文学的だとして存在するのでしょうか。それらがとりあげられず、その
悲傷において、その克服への熱望においてそのものとして肯定を強要して存在するのでし....
「世代の価値」より 著者:宮本百合子
そのものも単一平坦な道を通ることがむずかしくて、ある場合には殆ど耐えがたいような
悲傷、痛心を耐え終せて、自分たちの愛を完うせざるを得ないような場合も殖えて来てい....
「世界の寡婦」より 著者:宮本百合子
って世界には未亡人が満ちあふれた。ナチス・ドイツは、女性の歎きと訴え、人民全般の
悲傷の思いをふみにじって、戦争中、婦人が喪服をつけることを禁止した。ドイツの人々....
「万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
から、幾月か過ぎて雪の降った冬の日に、穂積皇子が遙かに御墓(猪養の岡)を望まれ、
悲傷|流涕して作られた歌である。皇女と皇子との御関係は既に云った如くである。吉隠....
「学生と生活」より 著者:倉田百三
裏切られた場合がある。今ひとつは相手に死なれた場合だ。このいずれの場合にも、その
悲傷は実に深い。しかし人間はこの寂寥と
悲傷とを真直ぐに耐えて打ち克つときに必ず成....
「人生における離合について」より 著者:倉田百三
性格の一つの著しい特徴であろう。したがっていったん、その結合が破れたときにはその
悲傷もまた深刻である。万葉集の巻の三には大津皇子が死を賜わって磐余の池にて自害さ....
「光り合ういのち」より 著者:倉田百三
まったのであった。 人間が愛して、触れ合って、やがて別れるという過程は何という
悲傷であろう。何故いつ迄も別れずに愛しつづけられないのであろうか? 時と、境と、....
「本朝変態葬礼史」より 著者:中山太郎
犬烏|聚《あつま》り※《は》む。天皇此の泣《いざ》ち吟《によ》ぶ声を聞きて、心に
悲傷《いたみ》有《ま》す。群卿に詔《みことのり》して曰く、それ生くるときに愛《め....