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悲喜
「悲喜〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
悲喜の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
人の人間は、代る代る泣いたり笑ったりしていた。が、山々の中から湧き上る声は、彼の
悲喜には頓着なく、あたかも目に見えない波濤のように、絶えまなく彼の上へ漲《みなぎ....
「春の潮」より 著者:伊藤左千夫
ちであろう。限りなき嬉しさの胸に溢れると等しく、過去の悲惨と烈しき対照を起こし、
悲喜の感情相混交して激越をきわむれば、だれでも泣くよりほかはなかろう。 相思の....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
あって人間同志の結び目を知らないで恋人に逃げられてばかりいるアルトゥール青年を、
悲喜劇染みた気持で見返した。 「あの青年はどういう育ちの人」 「さあ、そいつはま....
「小田原陣」より 著者:菊池寛
せて居る。淀君が東下の途中、足柄の関で抑留した為、関守はその領地を没収された様な
悲喜劇もあった。或時は数寄屋に名器を備え、家康、信雄等を招待して茶の湯会をやって....
「浮動する地価」より 著者:黒島伝治
新しく敷地にかゝったものは喜んだ。地主も、自作農も、――土地を持っている人間は、
悲喜|交々だった。そいつを、高見の見物をしていられるのは、何にも持たない小作人だ....
「運命」より 著者:幸田露伴
れりとせず。是に於て才子は才を馳せ、妄人は妄を恣にして、空中に楼閣を築き、夢裏に
悲喜を画き、意設筆綴して、烏有の談を為る。或は微しく本づくところあり、或は全く拠....
「八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
である。すなわち甘い誘惑のために危うく足を踏みはずそうとして、わずかに助けられた
悲喜の情が泣き声となってほとばしったのである。 誰もじっと黙っている。 秋の....
「世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
のように一人一人に散って行った。 音楽師は金を貰ったので再び楽器を手に取ると、
悲喜こもごも至るというべき音楽が始まった。音楽師らは俗謡を試みたのであるが、耳を....
「初孫」より 著者:国木田独歩
まじと思われ候、これを思えば悲しいともうれしいとも申しようなき感これありこれ必ず
悲喜両方と存じ候、父上は何を申すも七十歳いかに強壮にましますとも百年のご寿命は望....
「歯車」より 著者:芥川竜之介
虚栄心や病的傾向や名誉心の入り交った、複雑な性格の持ち主だった。しかも彼の一生の
悲喜劇は多少の修正を加えさえすれば、僕の一生のカリカテュアだった。殊に彼の
悲喜劇....
「演劇の様式――総論」より 著者:岸田国士
フランスでも、十八世紀になると、悲劇と喜劇との区別を無視しはじめた。いわゆる「
悲喜劇」という代物が生れ、批評家はこれを「ジャンルの混淆」と言つた。悲劇でもなく....
「血曼陀羅紙帳武士」より 著者:国枝史郎
門の働きを見、耳に左門の声を聞き、茫然とした気持ちにならざるを得なかった。それは
悲喜|交※の感情ともいえれば夢に夢見る心持ちとも云えた。左門が自分の味方として現....
「赤げっと 支那あちこち」より 著者:国枝史郎
いるな」と思ったからだよ。 が、こんなことは何うでもいいとして、此処で行われた
悲喜劇に就いて書くことにする。 我等の船の傍を普通の小舟がノタリノタリと通って....
「夢の如く出現した彼」より 著者:青柳喜兵衛
、奔流する水道を、白波たつ波頭を蹴散らし蹴散らし、いささかのセンチを目に浮べて、
悲喜交々、闘志を抱いて渡る関門の海峡を、逆に白波を追っていた連絡船の中で、夢野久....
「遁走」より 著者:葛西善蔵
。若い法学士はというと、彼はこの思いがけない最後の――作家なぞという異った社会の
悲喜劇? に対してひどく興味を感じたらしく、入口の柱にもたれて皆なの後ろから、金....