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「悲涙〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

悲涙の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
丹下左膳」より 著者:林不忘
彼は振りむきもせずに、 「達者《たっしゃ》に――」 「え? もう一度お顔をッ!」悲涙にむせんだお艶、前を乱した白い膝がしらに畳をきざんで、両手を空に上り框《がま....
水晶の栓」より 著者:新青年編輯局
いばかりです……あの鬼の様な男にも涙があるか……それを見とうございます。あの男の悲涙、あの男の絶望!』 『あの男の死もまた欲するんでしょう』とルパンは過ぎし夜の....
宮本武蔵」より 著者:吉川英治
、沙汰の限りだ) と怒っている者があるし、 (拳法先生が世におわせば) と、悲涙をふるって、一介の武者修行から与えられた侮辱に対して歯がみをしている者もあっ....
宮本武蔵」より 著者:吉川英治
……」 まるで、うつつかのように彼方を指さし、もつるる舌に、顔じゅうに、異様な悲涙を湛えていった。 翌年のことだった。詳しくいえばその歳は、慶長十七年、四月....
三国志」より 著者:吉川英治
本陣へとひかれてゆく途中も、彼は何度も雲の迅い空を仰いで、 「残念だっ」と、眦に悲涙をたたえた。 やがて彼は、孫策の本陣へ引かれて来た。 「万事休す」と観念し....
三国志」より 著者:吉川英治
の身に力をかして賜もれ」 忠義な郎党と、彼女が見抜いて打明けた者だけに、二人は悲涙をたたえて、亡君の恨み、誓って晴らさんものと、その夜を待っていた。 ※覧は....
三国志」より 著者:吉川英治
児童あつかいである。あわれや、衰えたりといえ、朝夕、禁裡に仕える身なるものをと、悲涙をのみ、憤怒を抑えていた者もあろうが、色にでも、そんな気ぶりを現わしたら、す....
三国志」より 著者:吉川英治
へ立った。糜芳は城を出て、友を出迎え、まず関羽の消息を問い、荊州の落城を嘆じて、悲涙を押し拭う。 「いや……実はその、そのことで今日は、あなたへも相談に来たわけ....
私本太平記」より 著者:吉川英治
幕府への御憎悪は年久しいが、今ほどな天皇のおん眼じりを、宣房も見たことがない。悲涙にただれていらッしゃる。――が、それに耐えんとなされるらしく、じいっと、閉じ....
私本太平記」より 著者:吉川英治
陣と先に立って行った友軍の戦場からは、たくさんな戦死者報が、留守の家族へ聞えて、悲涙をしぼらせていたのである。 「こんどはちがうぞ。いままでにない大戦の様相だ」....
随筆 新平家」より 著者:吉川英治
白骨のるい積である。白骨どもがやった権力の争奪、名誉欲、恋愛かっとう、父子母子の悲涙の行、友情、離反、あらゆる愛憎や謀略の陥れ合い、そして一ときの栄花というシー....
黒田如水」より 著者:吉川英治
に措くものではない」 ひとり衣笠久左衛門ばかりでなく、母里太兵衛も栗山善助も、悲涙のうちにこれを誓った。 僧形の久左衛門は、新七の家の仏間を借りうけて、 「....
大岡越前」より 著者:吉川英治
のやしきを出て行った市十郎の――あの悪魔に憑かれた市十郎の姿が――その時の悲雨や悲涙のむせびを交ぜて、今でも耳によみがえってくる。惻々と、胸を傷くしてくる。 (....