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「悲運〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

悲運の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
富士」より 著者:岡本かの子
れて、命を失いかけている小雄《さお》鹿を、その男と共に、無駄なことの犠牲になった悲運のものと思うだけだった。ただ、しゅくしゅく鳴きながら苦しみを訴える鹿の眼の懸....
鯉魚」より 著者:岡本かの子
様子の判るまで置いてもらうことだと思いましたが、乱世の慣《なら》わし、同じような悲運な事情で寺へ泣付いて来る者がたくさんあって、それをいちいち受容《うけい》れて....
地球発狂事件」より 著者:海野十三
が拠れる海底構築物を発見した。この輝かしき発見の後、博士一行は悉く遭難し、全滅の悲運に陥った。それがため以後の調査は杜絶したが、アメリカ当局は更に新に調査団を編....
宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
ないはずである。しかるに我々の日常の経験するところから見るとこの現世界はまだこの悲運に出会っていない。それで当然の帰結として永劫観念は根拠のないものだということ....
空襲葬送曲」より 著者:海野十三
曲ってしまった。 この調子が永く続くと、敵艦隊を圧迫した我が艦隊は、遂に反対の悲運に陥らなければなるまいと思われた。 「見ちゃいられんな」陸奥の艦上三千メート....
地中魔」より 著者:海野十三
の近距離で、果して三吉は射殺を免れることが出来るだろうか。否! 否! 岩の悲運 三吉の頭のところに最初、プスリと穴があいた。次に肩のところに……。 「あ....
海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
とは、すでに「死」を思いたったときから覚悟の上だが、わが家族の上に果していかなる悲運が下るであろうか。それを思うと、胸がふさがる。何とか工夫して遁がしたらよいか....
食魔」より 著者:岡本かの子
無いからだ」この事実は彼に取って最も痛くていまいましい反省だった。そして今更に、悲運な境遇から上の学校へも行けず、秩序立った勉強の課程も踏めなかった自分を憐むの....
母子叙情」より 著者:岡本かの子
、何の意味か、かの女にも判らなくなって来た。しまいには規矩男はナポレオンの晩年の悲運を思わせる、か細く丸く尖った顎を内へ引いて苦笑した。稚気を帯びた糸切歯の根元....
河明り」より 著者:岡本かの子
、僕の身の上話を一応|訊いて下さい。第一に僕の人生の出発点からして、捨子という、悲運なハンディキャップがついているんです。」 彼の語り出した身上話とは次のよう....
怪星ガン」より 著者:海野十三
恐ろしい運命に追いつめられているいじょう、テッド博士以下の地球人たちも、また同じ悲運に追いこまれているのだ。 いや、地球人の立場は、ガン人よりももっと悪いのだ....
巴里祭」より 著者:岡本かの子
らない。いびつな夫婦生活ばかりして来て、とうとうそれも破れて仕舞った此の老美人の悲運が他人の性愛生活にまで妙な干渉を始めるようになっていた。 新吉は巴里の女に....
怪異暗闇祭」より 著者:江見水蔭
あった。 既に定っていた良家への縁談は腹違いの妹にと移された。 稲代はかかる悲運に陥いれた種蒔の若者達を、極悪の敵と呪わずにはいられなかった。けれどもどこの....
仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
起るものです。不思議とある人に限ってこの齟齬が度々繰り返されることがありまして、悲運の余りいじけたり、呆然自失してしまう人があります。 これと反対に、外見上、....
あの顔」より 著者:大倉燁子
赤ン坊が生れてから間もなくの事でしたが私に取っては偶然に湧いた幸運、夫にとっては悲運とでも申しましょうか、妾に若い男があるという噂がたったのです。夫が詰問したと....