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悲風
「悲風〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
悲風の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「四条畷の戦」より 著者:菊池寛
に戦死し、続いて北畠|顕家は和泉に、新田義貞は北陸に陣歿し、今や南朝は落漠として
悲風吹き荒び、ひたすら、新人物の登場を待って居た。 そこへ現れたのが、楠正行で....
「暗黒公使」より 著者:夢野久作
こで一寸息を切ると場内の処々に軽い……けれども深い驚きの響きを籠めた囁きの声が、
悲風のように起った……と思ううちに又ピタリと静まった。 「それで団員一同は八方に....
「連環記」より 著者:幸田露伴
い生活を楽んでいる際に当って、近親の定基の家には、卑しい身分の一艶婦のために冷雨
悲風が起って、其若い妻が泣きの涙でいるということを知っては、其儘に他所の事だと澄....
「わかれ」より 著者:国木田独歩
まてり。かれが心のはげしき戦いは昨夜にて終わり、今は荒寥たる戦後の野にも等しく、
悲風|惨雨ならび至り、力なく光なく望みなし。身も魂も疲れに疲れて、いつか夢現の境....
「郷介法師」より 著者:国枝史郎
た。子を捨る親、養父を殺す子、君を殺す家来、家来を計る君、昨日の味方は今日の敵、
悲風惨憺たる戦国時代では、なまじ出家などするよりも賊になった方が気が利いていると....
「太陽系統の滅亡」より 著者:木村小舟
まちにして波の音たえ、全く氷塊を以て閉されて仕舞った、陸上は次第に薄暗くなって、
悲風頻りに吹き、樹木また凍結し、動物は食つきて、その残骸は、地の表面を被わんばか....
「三国志」より 著者:吉川英治
、義渠などが附随しているとはいえ、顧みれば敗残の将士はいくばくもなく、寥々の破旗
悲風に鳴り、民の怨嗟と哀号の的になった。 「田豊。……ああそうだった。実に、田豊....
「三国志」より 著者:吉川英治
る。退かんか、後には魏の大軍がみちている。 眇々、敗軍の落ちてゆく野には、ただ
悲風のみ腸を断つ。 「大将軍。試みに、呂蒙へお手紙を送ってみたら如何ですか。かつ....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
、顕家の奥州軍は、年の瀬も正月もなく急いでいたが、都へ近づくほど、官軍方の聞えは
悲風ばかりで、足利方の優勢は断然たるものがあり、一夜の宿陣も気が気ではなく、 ....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
生を一つにし、この迂愚な正成について、このどたん場まで、共に志をかえず、最後まで
悲風のみな菊水旗の下を去らずにいてくれたこと、なんといってよいか、正成にはいま、....