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「悵然〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

悵然の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
義血侠血」より 著者:泉鏡花
れど、ままにならぬが浮き世かね」 渠は茫々《ぼうぼう》たる天を仰ぎて、しばらく悵然《ちょうぜん》たりき。その面上《おもて》にはいうべからざる悲憤の色を見たり。....
河明り」より 著者:岡本かの子
した作り笑いの声を挙げた。しかし、若い経営主が、こういうにつれ、他の若い男たちも悵然とした様子をみて、娘は心から同情する気持ちを顔に現した。 「僕の慰めは酒と子....
雛妓」より 著者:岡本かの子
くしは、この答えが殆ど逸作の若いときのそれと同じものであることに思い当り、うたた悵然とするだけであった。そしてどうしてわたくしには、こう孤独な寂しい人間ばかりが....
中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
火を発して、その木簡を焼いてしまった。かれは書物を石の下に置いたのである。かれは悵然としてまた言った。 「おれは千歳にして子がなかったが、今や初めて子を儲けた。....
中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
には伝うべからず、伝うべき者は学ぶを願わず。この術も終に絶えるであろう」 彼は悵然として宋を送って別れた。....
灰燼十万巻」より 著者:内田魯庵
る書目の滅亡は真に悲むべきであった。 Kと一緒に暫らく灰燼の中を左視右顧しつゝ悵然として焼跡を去りかねていた。 四壁の書架は尽く焼燼して一片紙の残るものだに....
太郎坊」より 著者:幸田露伴
めるよりほか仕方が無いかナア。アアアア、物の命数には限りがあるものだナア。」 と悵然として嘆じた。 細君はいつにない主人が余りの未練さをやや訝りながら、 「あ....
巴里祭」より 著者:岡本かの子
方の女となった。 ――君もあの時分は元気だったなあ。」 そう言うと流石に彼女も悵然としたらしい様子のまゝしばらく黙った。二人は並木のシャン・ゼリゼーまで出たが....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
ぶ》って雪に揺曳《ようえい》するところ。亭々たる松の木の下に立って杖をとどめて、悵然《ちょうぜん》として行く末とこし方をながめて立ち、 「茂ちゃん、お前のいると....
照葉狂言」より 著者:泉鏡花
弱々しく、風にも堪えじと見えたまうが、寝着姿の肌薄きに、折から身を刺す凩なりし。悵然として戸に倚りて遥に此方を見送りたまいし。あわれの俤眼前を去らず、八年永き月....
露肆」より 著者:泉鏡花
に出しておきます、この芳口剤で一度|漱をして下さい。」 と一口がぶりと遣って、悵然として仰反るばかりに星を仰ぎ、頭髪を、ふらりと掉って、ぶらぶらと地へ吐き、立....
成仙」より 著者:田中貢太郎
ようとしたところで、成が闊い袖をあげたが、そのまま二人の姿は見えなくなった。弟は悵然としてそこに立ちつくしていたが、しかたなしに泣きながら家へ返った。 この周....
少年連盟」より 著者:佐藤紅緑
おとなの二倍以上の仕事を完成した。五月五日一同はいかだの上に集まった、ゴルドンは悵然として、もはや残骸のみのサクラ号をかえりみていった。 「船はなくなった、ぼく....
おせん」より 著者:邦枝完二
かに進んでいた。 菊之丞の駕籠を一|町ばかり隔てて、あたかも葬式でも送るように悵然と首を垂れたまま、一|足毎に重い歩みを続けていたのは、市村座の座元羽左衛門を....
放水路」より 著者:永井荷風
《やすみぢゃや》の老婆が来年は春になっても荒川の桜はもう見られませんよと言って、悵然《ちょうぜん》として人に語っているのを聞いた。 わたくしはこれに因《よ》っ....