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悶え
「悶え〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
悶えの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
つけました。庇の下には妻の小夜《さよ》が、下《か》半身を梁に圧《お》されながら、
悶え苦しんで居ったのでございます。
私は妻の手を執って引張りました。妻の肩を押....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
でもかかった狐のように、牙ばかりむき出して、まだ未練らしく喘《あえ》ぎながら、身
悶えしていたそうでございます。
するとこれを御覧になった若殿様は、欠伸《あくび....
「星座」より 著者:有島武郎
いう可憐な動物だ。彼の酷《むご》たらしい抱擁《ほうよう》の下に、死ぬほどに苦しみ
悶えながら彼女の純潔が奪われていく瞬間を想像すると、渡瀬はふたたび眩惑《げんわく....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
直ぐに台所から居間を突切って、取次ぎに出る手廻しの、襷を外すのが膚を脱ぐような身
悶えで、 「真砂町の、」 「や、先生か。」 真砂町と聞いただけで、主税は素直に....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
影響などは考えてはいられない筈だ。自分の罪に苦しんで、荊棘の中に身をころがして、
悶えなやんだ聖者フランシスが、その悔悟の結果が、人類にどういう影響を及ぼすだろう....
「クララの出家」より 著者:有島武郎
破滅が眼の前に迫った。深淵が脚の下に開けた。そう思って彼女は何とかせねばならぬと
悶えながらも何んにもしないでいた。慌て戦く心は潮のように荒れ狂いながら青年の方に....
「海神別荘」より 著者:泉鏡花
やあ、胸へ、乳へ、牙が喰入る。ええ、油断した。……骨も筋も断れような。ああ、手を
悶える、裳を煽る。 侍女六 いいえ、若様、私たち御殿の女は、身は綿よりも柔かです....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
なりうしろからお道さんの口へ猿轡を嵌めましたぜ。――一人は放さぬ、一所に死のうと
悶えたからで。――それをね、天幕の中へ抱入れて、電信事務の卓子に向けて、椅子にの....
「開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
、うろついている心地がするので、たださえ心臓の苦しいのが、悪酔に嘔気がついた。身
悶えをすれば吐きそうだから、引返して階下へ抜けるのさえむずかしい。 突俯して、....
「縁結び」より 著者:泉鏡花
りを一つあおって、白い手が膝の上へばたりと来た。 突俯したお君が、胸の苦しさに
悶えたのである。 その手を取って、 「それだもの、忘、忘れるもんか。その時の、....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
いたので。 その時、もう、これをして、瞬間の以前、立花が徒に、黒白も分かず焦り
悶えた時にあらしめば、たちまち驚いて倒れたであろう、一間ばかり前途の路に、袂を曳....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
た、腋の下から脈を打って、垂々と冷い汗。 さてもその夜は暑かりしや、夢の恐怖に
悶えしや、紅裏の絹の掻巻、鳩尾を辷り退いて、寝衣の衣紋崩れたる、雪の膚に蚊帳の色....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
も逢われないものと思い込んでいた肉親の祖父が、元の通りの慈愛に溢れた温容で、泣き
悶えている私の枕辺にひょっくりとその姿を現わしたのですから、その時の私のうれしさ....
「杜子春」より 著者:芥川竜之介
のように、馬の皮肉を打ち破るのです。馬は、――畜生になった父母は、苦しそうに身を
悶えて、眼には血の涙を浮べたまま、見てもいられない程|嘶き立てました。 「どうだ....
「活人形」より 著者:泉鏡花
い、という声しつ。今しがた見えずなりたる、美人の小腕を邪慳に掴みて、身を脱れんと
悶えあせるを容赦なく引出しぬ。美人は両手に顔を押えて身を縮まして戦きいたり。 ....