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「悶ゆ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

悶ゆの前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
婦系図」より 著者:泉鏡花
です。お、お道さん、毒を、毒を一思いに飲まして下さい。」 と魚の渇けるがごとく悶ゆる白歯に、傾く鬢からこぼるるよと見えて、衝と一片の花が触れた。 颯となった....
蝱の囁き」より 著者:蘭郁二郎
を唄い出したのであった。 月の吐息か 仄かな調は 闇をば流れ来て 侘しいこの身の悶ゆる心に 響け 調よ。 密やかに慕寄る 慰めの唄 されど尚人知れず 泪さそう詩....
海神別荘」より 著者:泉鏡花
渦巻く。悲歎の涙は、硫黄を流して草を爛らす。長い袖は、腥い風を起して樹を枯らす。悶ゆる膚は鱗を鳴してのたうち蜿る。ふと、肉身のものの目に、その丈より長い黒髪の、....
夜叉ヶ池」より 著者:泉鏡花
なく抱すくめて掴み行く。仕丁手伝い、牛の背に仰けざまに置く。 百合 ああれ。(と悶ゆる。) 胴にまわし、ぐるぐると縄を捲く。お百合|背を捻じて面を伏す。黒髪|颯....
湯島の境内」より 著者:泉鏡花
ゃるのは、真砂町の先生の。(と茫然とす。) 早瀬 己は死ぬにも死なれない。(身を悶ゆ。) お蔦 (はっと泣いて、早瀬に縋る。) ※一日逢わねば、千日の思いにわた....
二つの途」より 著者:豊島与志雄
きく拡がりながら、表面に浮び出て来た。彼を呑みつくそうとした。彼は抵抗した。然し悶ゆれば悶ゆるほど、穴の底へ――底のない穴へ――沈んでいった。全身の力を搾って、....
曙覧の歌」より 著者:正岡子規
通のことなり。これ貧に安んずる者に非ずして貧に悶《もだ》ゆる者。曙覧はたして貧に悶ゆる者か否か。再びこれをその歌詠に徴せん。〔『日本』明治三十二年三月二十三日〕....
小説 円朝」より 著者:正岡容
自身が覆ってしまうだろう。 どうしたら、ああどうしたらいいだろう――とつおいつ悶ゆる目先に、いつか二つ目になったとき師匠に連れられてお詣りにいったことのある苔....
活人形」より 著者:泉鏡花
べしと、男泣に泣きしとなん。 下枝が死を宣告され、仇敵の手には死なじとて、歎き悶ゆる風情を見て、咄嗟に一の奇計を得たり。 走りて三たび雑具部屋に帰り、得右衛....
六号室」より 著者:瀬沼夏葉
寐台にようよう取縋った。とまたもこの時振下したニキタの第二の鉄拳、背骨も歪むかと悶ゆる暇もなく打続て、またまた三|度目の鉄拳。 イワン、デミトリチはこの時高く....