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「情けぶ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

情けぶの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
籠釣瓶」より 著者:岡本綺堂
けて帰った。 「あいつもやっぱり可愛い奴だ」 馬鹿と叱った主人の口から、こんな情けぶかい独り言も洩れた。 十五 毎日ふり続いた雨が今日はからりと晴....
箕輪心中」より 著者:岡本綺堂
に藤枝家へ奉公することになった。それはお時が二十二の夏であった。 殿様も奥様も情けぶかい人であった。いい主人を取り当てたお時は奉公大事に勤め通して、若様が五つ....
黒猫」より 著者:佐々木直次郎
の連続以上のものを認めないようになるであろう。 子供のころから私はおとなしくて情けぶかい性質で知られていた。私の心の優しさは仲間たちにからかわれるくらいにきわ....
右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
どもたちを貧乏にしやがったんだ。――食べな! 食べな! おらのだんなは、日本一お情けぶけえおかたなんだ。ほしけりゃ、江戸じゅうの大福もちみんなでも買ってくださる....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
という今年|二十歳《はたち》の伜の後見をしているが、死んだ亭主と違って、おまきは情けぶかい方で世間の評判も悪くない。誰袖はお職から二枚目の売れっ妓《こ》で、去年....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
らないが、今は決してそんな事はないとお浪は確かに云い切った。お父っさんが正直で、情けぶかい人であることは近所の人達がみんな能く知っている。月の四日にはきっと両国....
中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
まで吊りあげ、不意にその縄を切り放すと、かれらは土の底に墜ちて死ぬのである。ある情けぶかい男があって、瞞すのも不憫だと思って、その七、八人を穴の上まで正直に吊り....
田原藤太」より 著者:楠山正雄
頂けますまいか。」 こういって龍王はていねいに頭を下げました。藤太はやさしい、情けぶかい武士でしたから、 「それはどうも気の毒なことだ。ではさっそく行って、そ....
夢殿」より 著者:楠山正雄
てて追いたてようとしますと、太子はやさしくお止めになって、食べ物をおやりになり、情けぶかいお言葉をおかけになりました。そして帰りしなに、 「寒いだろうから、これ....
鎮西八郎」より 著者:楠山正雄
した。為朝は力が強いばかりでなく、おとうさんに孝心ぶかいと同様、だれに向かっても情けぶかい、心のやさしい人でしたから、三|年いるうちにこんなに大勢の人から慕われ....
丹下左膳」より 著者:林不忘
わけにはゆかないので、黒を使ってくだしおかれるありがたいお言葉! なんというお情けぶかい! お顔を拝んだら眼がつぶれるかも知れぬが、これ以上|御辞退《ごじた....
可愛い女」より 著者:神西清
フランス語の男の先生が大好きだったこともある。彼女は物静かな、気だてのやさしい、情けぶかい娘さんで、柔和なおだやかな眸をして、はちきれんばかりに健康だった。その....
人造物語」より 著者:海野十三
よく覚えているのは、こんな噺であった。 宝を探しに行く兄弟のうち、末の弟は大変情けぶかい子であったが、それがために、秘術を教わった。その秘術というは、なんでも....
巷説享保図絵」より 著者:林不忘
りのあいだにころがりこんだ。 「何をなさいます! 旦那さまは、どんなにわたしにお情けぶかくしてくださいましたことか、そのお礼も申し上げずに、お眼の不自由な旦那様....
ねむい」より 著者:神西清
」と、通りすがりの人びとに、母親が物乞いする。――「恵んでやってくださいまし、お情けぶかい旦那がた!」 「その子をおよこし!」と、誰やら聞きおぼえのある声が、そ....