情味[語句情報] »
情味
「情味〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
情味の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「葱」より 著者:芥川竜之介
りしているとおれまでも、サンティマンタアルになり兼ねないぞ。元来世間の批評家には
情味がないと言われている、すこぶる理智的なおれなのだが。
そのお君さんがある冬....
「東海道五十三次」より 著者:岡本かの子
土にも松並木にも宿々の家にも浸み込んでいるものがある。その味が自分たちのような、
情味に脆《もろ》い性質の人間を痺《しび》らせるのだろうと思いますよ」 強《し》....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
には知識と教養のあとがいちじるしく目立っていた。但し、その青春時代にも、温かな人
情味などはけっして表わさなかったであろうと思われるような人物であった。 なにも....
「巴里祭」より 著者:岡本かの子
と逆襲した。すると夫人は新吉の腕から手を抜いて肩を掴え、 ――あたし、そういう
情味のはなし大好きですわ。」 と言って夫人は、更めて新吉の頬に軽く接吻した。新....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
手で、とても私などの足元にも及ぶことではありませぬ。私などは修行も未熟、それに人
情味と言ったようなものが、まだまだ大へんに強過ぎて、思い切ってきびしい躾を施す勇....
「寄席と芝居と」より 著者:岡本綺堂
れにも黙阿弥作の「斎藤内蔵之助の馬の別れ」という粉本が無いでもないが、多助の方が
情味に富んで、聴衆を泣かせるように出来ている。わたしは運わるく、円朝の高坐で「馬....
「久米正雄氏の事」より 著者:芥川竜之介
。いや、寧ろ久米のフォルトたる一面は、そこにあるとさえ云われるでしょう。素朴な抒
情味などは、完くこの田舎者から出ているのです。 序にもう一つ制限を加えましょう....
「新しき世界の為めの新しき芸術」より 著者:大杉栄
深く憐れんでいる」と云う程でもない。「其処には、人間と人間とが互に抱き合うような
情味や、人間としての生の享楽などと云う事は薬にしたくもない」とも云っているようだ....
「三人の師」より 著者:上村松園
い。 しかし生徒たちにはとても受けがよかった。 豪快ななかにしみじみとした人
情味があり、弟子を世の中へ送り出そう送り出そうとされたところなど大器のところがあ....
「明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
気がつかないらしい。よい太夫が浄瑠璃を語って、よい人形使いが人形を働かせるという
情味が、東京の観客にはだんだん判らなくなって来たらしい。義太夫を聴く耳はあっても....
「淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
だので、江戸時代の買妓や蓄妾は必ずしも淫蕩でなくて、その中に極めて詩趣を掬すべき
情味があった。今の道徳からいったら人情本の常套の団円たる妻妾の三曲合奏というよう....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
作風の新らしい匂いがあった。これに反して『其面影』の描写は婉曲に生温く、花やかな
情味に富んでる代りに新らしい生気を欠いていた。幸田露伴はかつて『浮雲』を評して地....
「お母さんは僕達の太陽」より 著者:小川未明
する。二度も、三度も、子供が呼んでから、やっと、 「なんですか」と、いうような、
情味のない返事であったら、その言葉は、子供の期待にそむいて、いかなる感銘を与える....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
にしろ、相手の女性に恥をかかさず、さればといって自分の品位も堕さず、しかるべき人
情味のある処置と言葉がありそうなものです。あの枯木寒巌のごとしと言って澄まし返っ....
「俗臭」より 著者:織田作之助
一層強くなった。単に慾で動く人間だと見られたくない為に、船司は、出来得る限りの人
情味を見せねばならぬと思うのだった。 こんな船司を児子家では使として期待したの....