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情念
「情念〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
情念の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
を持ち始めた葉子は、自然自然に妻らしくまた母らしい本能に立ち帰って、倉地に対する
情念にもどこか肉から精神に移ろうとする傾きができて来るのを感じた。それは楽しい無....
「振動魔」より 著者:海野十三
妙齢の婦女子の懺悔を聴き病気見舞と称する慰撫をこころみて、心中ひそかに怪しげなる
情念に酔いしれるのを喜んだ。柿丘秋郎の正体もつきつめて見れば、此の種の人物だった....
「鍵から抜け出した女」より 著者:海野十三
上に落ちてくるのを見すまし、悪心を起して横領を企てるに至った。継母お鳥も、いまは
情念の悪鬼となり、虎に同意をして、下心あってあの黄風島へ渡り、計画に従って僕を病....
「壊れたバリコン」より 著者:海野十三
わない。今は少しでも彼女と魂を相倚せて、未来の結縁を祈るばかりだ。 君よ。僕の
情念を察して呉れ給え。しかし僕は自分の任務をおろそかにはしない。この苦しき恋を育....
「千早館の迷路」より 著者:海野十三
まわった結果、怪しいことを聞き出した。それは過去半年あまりの間に、田鶴子に対して
情念を非常に燃やして接近していた若い男の中の五名ほどが、揃いも揃って予告なしに突....
「什器破壊業事件」より 著者:海野十三
女探偵の悒鬱 「離魂の妻」事件で、検事六条子爵がさしのばしたあやしき
情念燃ゆる手を、ともかくもきっぱりとふりきって帰京した風間光枝だったけれど、さて....
「棺桶の花嫁」より 著者:海野十三
が意識的に杜にしなだれ懸ることだった。彼女としては、恩人でもあり、またこの上ない
情念の対象である彼に対して、せめてこういうときでも露骨にしなだれかかるより外、彼....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
として慕わしく感じます。が、不思議なもので、だんだん修行が積むにつれて、ドーやら
情念の発作を打消して行くのが上手になるようでございます。それがつまり向上なのでご....
「出家物語」より 著者:坂口安吾
しきっているので、自分でも面喰ったほどであるが、同時に荒々しい情慾がわき起って、
情念の英雄豪傑というような雄大な気持になった。 そこで彼は征服にとりかゝる。侵....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
し、たちまち血相が変ってくるのは一座の水夫どもである。思いは同じ、焼けつくような
情念なのだ。これをきいて悠々とせせら笑っていられるのは大和だけであった。 「よさ....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
みにしてしまいたいと思い悲んだほどである。 そして、バラバラ事件の調査を進める
情念を一気に全部失ってしまった。 バラバラ包みは、その後、三月九日と、三月十五....
「潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
ルリーケを見れば頷かれるが、事実にも衡吉は、不覚なことに老いを忘れ、あの厭わしい
情念の囚虜となっているのだった。 その深い皺、褪せた歯齦を見ると、それに命を取....
「宝永噴火」より 著者:岡本かの子
っ! 何という太く逞しい自分の悪血の迸りだ。吐け、吐け。 慧鶴は何物とも知れぬ
情念に狂える如く酔ってしまった。その酔いには濃淡があった。旧十一月の末のことだか....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
の眼、あの眼。 やっ、飛びつく、飛びつく、 血みどろな、敗れてもなお弾き立つ
情念、老いてもまだ衰えぬ生存慾、力尽きて海中に噬み落された弱者、老大獣の必死の争....
「ベートーヴェンの生涯」より 著者:片山敏彦
る。(一八一五年) * 神からは一切が清らかに流出する。私が幾度か
情念のため悪へ混迷したとき、悔悟と清祓を繰り返し行なうことによって私は、最初の、....