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「情炎〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

情炎の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
若さとが互いにきびしく求め合って、葉子などをやすやすと袖《そで》にするまでにその情炎は嵩《こう》じていると思うと耐えられなかった。葉子はしいて自分を押ししずめる....
ふもれすく」より 著者:辻潤
んと生まれて初めての恋愛生活をやったのだ。遺憾なきまでに徹底させた。昼夜の別なく情炎の中に浸った。初めて自分は生きた。あの時僕が情死していたら、いかに幸福であり....
源氏物語」より 著者:紫式部
目につくことがあったらと恐れながら、例の癖で、六の君が後宮へはいった時から源氏の情炎がさらに盛んになった。院がおいでになったころは御遠慮があったであろうが、積年....
源氏物語」より 著者:紫式部
へ行ってしまったのは夫人のために気の毒なことである。中納言は昔の後悔が立ちのぼる情炎ともなって、おさえがたいのであったであろうが、夫人の処女時代にさえ、どの男性....
丹下左膳」より 著者:林不忘
んだな、先日本所の屋敷に幽閉《ゆうへい》されおった際に――」 嫉火《しっか》と情炎にもつれる栄三郎の舌、その切々たる声を耳にして、お艶は半ばうっとりとされるが....
丹下左膳」より 著者:林不忘
君のいいなずけだということすら、すっかりどこかへケシとんで、ただ、われとわが身の情炎に、眼もくらめき、たましいもしびれ、女対男、男対女……としかうつらない。 ....
ジロリの女」より 著者:坂口安吾
などは考えてみたこともない。 その足で、博士はわが家へは帰らず、衣子を訪ねた。情炎の始末をせめてはこゝで、というわけであろうが、ところが、こゝに、さらに、はか....
母の上京」より 著者:坂口安吾
れではないので、娘と夏川とのつながりがかうあつさりと断たれると、母親の五十ちかい情炎が代つて働きかけてきた。同時にヒロシのひたむきな情熱が陰にこもつて差向けられ....
明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
はる紳士たち。一粒の真珠のために全てを捧げて悔いることのない美女の焼きつくような情炎が舞い狂っているのだ。 日本近海の真珠はアコヤ貝と称する真珠貝から採れるの....
陳情書」より 著者:西尾正
ものです。其の夜の一夜妻が其の小娘で有る事を直ちに悟り、期待した以上の上物なので情炎の更に燃え上るのを覚えました。稍々《やや》あって男が二三寸格子戸を開き、どう....
イオーヌィチ」より 著者:神西清
女たちが、かつては美しく蠱惑にみちて、恋いわたり、男の愛撫に打ちまかせて夜ごとに情炎を燃やした身を、ひっそりと埋めていることだろう。まったく母なる自然というもの....
柳原燁子(白蓮)」より 著者:長谷川時雨
うほどであり、和歌集『踏絵《ふみえ》』を出してから、その物語りめく美姫《びき》の情炎に、世人は魅せられていたからだ。 この結婚は、無理だというのが公評になって....
巷説享保図絵」より 著者:林不忘
た。惣七の、ふだんは森林にかこまれた湖のような顔に、いまは、かつて見たことのない情炎がぼうぼうと揺れうごいていた。それが、惣七の顔を、真昼の陽光のなかに、不思議....
花筐と岩倉村」より 著者:上村松園
いことであった。 「お夏狂乱」などで、女人の狂い姿を観てはいるが、お夏の狂乱は「情炎」の狂い姿であって、この花筐の中の狂い姿のように、「優雅典雅の狂い」というも....
魔性の女」より 著者:大倉燁子
「そんな気休めだけでは私安心出来ないの。奥様は迚もあなたを愛していらしゃるのね。情炎に燃えた、火のようなあのお眼を見ても、あなたの心をやきつくさないではおかない....