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「情痴〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

情痴の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
競馬」より 著者:織田作之助
に吸ったりすることが唯一《ゆいいつ》のたのしみで、律義な小心者もふと破れかぶれの情痴《じょうち》めいた日々を送っていたが、一代ももともと夜の時間を奔放《ほんぽう....
世相」より 著者:織田作之助
で情夫の石田吉蔵を殺害して、その肉体の一部を斬り取って逃亡したという稀代の妖婦の情痴事件が世をさわがせたのは、たしか昭和十一年五月であったが、丁度その頃私はカフ....
人造人間殺害事件」より 著者:海野十三
になることをしようと思っているのですのに」 「そいつは言わないのがいいでしょう。情痴《じょうち》の世界に、祖国も、名誉もありますまい」 「貴方は、今晩はどうして....
階段」より 著者:海野十三
あった。女史は、女理学士認定の蔭に所長となにか忌わしい関係を結んだものらしくその情痴の果に絞殺事件が発生したと伝えられる。四宮理学士の絞殺も同一手段で行われたの....
海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
くとも、書くのに骨が折れても、当分はこの推理小説一本槍にて進むこととし、いわゆる情痴犯罪のエログロには手を染めまいと思っている。江戸川、小栗、木々などの諸友の考....
金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
の女としての魂、それが詰め込まれている女の一人として彼女は全面的に現れて来ない。情痴を生れながらに取り落して来た女なのだ。真佐子をそうとばかり思っていたせいか復....
英本土上陸作戦の前夜」より 著者:海野十三
めて、その列車に乗り込んだのだった。 列車は、間もなく動きだした。思いがけない情痴事件の駅を後にして……。 11 彼は、無切符であった。 切符は....
モンアサクサ」より 著者:坂口安吾
人の弱さを知り、およそ暴力を知らない平和人ばかりである。彼らの世界には幾多の恋や情痴はあっても、暴力というものはないだろう。ドサ廻りの悲しさが、いつもつきまとっ....
世評と自分」より 著者:坂口安吾
会的責任を負う。もしも私の著作が、世相に悪影響を及ぼすものと断ぜられて、浮薄なる情痴作家と裁かれるなら、それはそれでよろしい。 時代や流行や社会によって裁かれ....
未来のために」より 著者:坂口安吾
るに過去の複写の図式を如何に真実めかすか、垢ぬけさせるか、ということだ。恋愛とか情痴とか時に肉体を描きながら、それを世俗的罪悪感によつて反撥の余地のない垢ぬけし....
巴里の唄うたい」より 著者:岡本かの子
裏切る憂欝な大きな眼だ。よく見るとごく軽微に眇になっている。その瞳が動くとき娘の情痴のような可憐ななまめきの全幅の諧調を会得するようになったのだ。人間にあってう....
西荻随筆」より 著者:坂口安吾
、やっぱり偉いのである。 去年の六月から現れた。つまり、太宰事件の直後らしい。情痴作家という噂もなかった太宰でもあれくらいだから、悪名高いアンゴは大いにやるべ....
犯人」より 著者:坂口安吾
と花井が云った。この会話の起りは、そのころ県の新聞を賑わしていた県都に起った情痴殺人事件からであるから、以下の会話は不自然な推移ではなかった。 人見「そん....
郷愁」より 著者:織田作之助
無智とかいうよりも、何か思いつめた一途さだった。 新吉の勘は、その中年の男女に情痴のにおいをふと嗅ぎつけていた。情痴といって悪ければ、彼等の夫婦関係には、電報....
フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
して、「第二桐の花」としてでも加えられねばならない恋々たる気持にもなる。何という情痴であろうと果敢なくもなった。 ああ、あの頃だ。私は若かった。木下杢太郎も吉....