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情趣
「情趣〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
情趣の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「「いき」の構造」より 著者:九鬼周造
さごまだ青し」とか「埋《うめ》られたおのが涙やまだら竹」というように、それ自身に
情趣の深い色っぽさがある。しかし「いき」の表現としての竹材の使用は、主として木材....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
所は普通武蔵野の名所と云われている感どころより、稍々外れて、しかも適確に武蔵野の
情趣を探らせて呉れるだけに、かの女には余計味わい深かった。こうして歩いているうち....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
の生鈍い肉声に歌われて、いわゆる緑酒紅燈の濁った空気の中に、何の威厳もなく、何の
情趣も無しに迷っているのに較べると、この唄はむしろこの人々と共に亡びてしまう方が....
「亡び行く江戸趣味」より 著者:淡島寒月
には煤煙に汚れたり、自動車の煽る黄塵に塗れ、殊に震災の蹂躙に全く荒れ果て、隅田の
情趣になくてはならない屋形船も乗る人の気分も変り、型も改まって全く昔を偲ぶよすが....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
を、詩人として立つ上において殆ど致命的であるかの如く思い詰めた。実際にその作詩は
情趣に乏しかった。題材は自然、神話、伝説にわたって、各※異ってはいたが、事象の取....
「東京に生れて」より 著者:芥川竜之介
んなところにも都会らしい美しさを感じなければ外に安住するところはない。 広重の
情趣 尤も、今の東京にも、昔の錦絵にあるやうな景色は全然なくなつてしまつたわけ....
「山越しの阿弥陀像の画因」より 著者:折口信夫
見送りに出る。此種の日想観なら、「弱法師」の上にも見えていた。舞台を何とも謂えぬ
情趣に整えていると共に、梅の花咲き散る頃の優なる季節感が靡きかかっている。 しか....
「褐色の求道」より 著者:岡本かの子
いて雪掻きを手伝って呉れます。これもこの仕事を好もしいものに思わして呉れる一つの
情趣です。 そんなわけで私たちに取って春が来るくらい気を滅入らせるものはありま....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
学というは人生に基礎を置く文学であって、単なる芸術一天張の享楽主義や遊蕩三昧や人
情趣味の文学ではなかった。即ちビェリンスキーの文学、ゴンチャローフの文学、ドスト....
「絵筆に描き残す亡びゆく美しさ」より 著者:上村松園
って、大きい振袖でしゃなりしゃなりと歩いているその度ごとに帯が可憐に揺れる、あの
情趣が京舞妓の全生命なんです。 舞妓の衣装の形にもいろいろありますが、袖が長く....
「エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
も高揚した気分でいた。エセックスは再び宮廷に帰ってきたのである。新しい、喜ばしい
情趣が、日常生活のうえに奔騰しつつある。フランスは待たせて宜しい。彼女はロバアト....
「中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
上の一つの習慣として固定させるようになるものであるらしい。詩型にはその詩型独特の
情趣が生れてくるので、和歌は宮廷の文字的詩歌に定着すると同時に、伝統の詩歌となっ....
「果物の幻想」より 著者:小川未明
道ばたの石の間から、伸び出て咲いている雪のような梅鉢草の花と共に、何となく深山の
情趣を漂わせます。もとより、これを味うには、あまりに稀品とすべきでありましょう。....
「書を愛して書を持たず」より 著者:小川未明
としての趣味があり、一種の芸術味が存している。中には※絵などが入っていて、一層の
情趣を添えるのもあって、まことに書物として玩賞に値するのであります。 和本は、....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
もかなりに凝って、尖った屋根飾りや軒飾りなども単純で、いかにもまた雪の深い樺太の
情趣を忍ばせるものであった。 蹄鉄、長柄の鎌、フオク、斧、鉈の類がその土間には....