惜しむ[語句情報] » 惜しむ

「惜しむ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

惜しむの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
俊寛」より 著者:芥川竜之介
なすったのですか?」 「二年の間同じ島に、話し合うた友だちと別れるのじゃ。別れを惜しむのは当然ではないか? しかし何度も手招ぎをしたのは、別れを惜しんだばかりで....
或る女」より 著者:有島武郎
ぐに二階の客間の模様を想像して、自分のために親戚《しんせき》や知人が寄って別れを惜しむというその席に顔を出すのが、自分自身をばかにしきったことのようにしか思われ....
星座」より 著者:有島武郎
たくさっきから聞いていたんだよ。よく考えてみよう」 「考えてみよう?……好男子、惜しむらくは兵法を知らず……まあいい、もう行け」 「僕も人見君といっしょに君を送....
空中墳墓」より 著者:海野十三
気を失って、うしろにどうと仆れてしまった。 私は直ぐさま眼をレンズにつけたが、惜しむや数秒のちがいで、かねて計算通りに襲い来った密雲で、視野はすっかり閉じられ....
鶴は病みき」より 著者:岡本かの子
むしろ好感を持っては居るがからかわれて惜しい婦人とは思って居なかった。)麻川氏を惜しむこころ、麻川氏の佳麗な文章や優秀な風采、したたるような新進の気鋭をもって美....
雛妓」より 著者:岡本かの子
ころらしく執られた両手を固く握り返した。手を執り合ったまま、雛妓もわたくしも今は惜しむところなく涙を流した。 「かの子さーん」 「かの子さーん」 涙を拭い終っ....
人造人間エフ氏」より 著者:海野十三
舷側から、白いハンカチーフをふって埠頭まで見送りにきてくれた父親にしばしの別れを惜しむのであった。 「さよなら、さよなら」正太も声をはりあげている。 やがて、....
月世界探険記」より 著者:海野十三
猿田飛行士が探険に加わることを好まぬ様子だったが、ミドリは滅多に来ないチャンスを惜しむあまり、とうとう羽沢飛行士の代りに猿田飛行士を頼むことにきめてしまった。 ....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
方でございましたの。 やあ、と云って、その学生さんが、あの辻の方から。――油を惜しむなよ、店が暗いじゃないか。今つける処なのよ、とお心易立てに、そんな口を利き....
」より 著者:池谷信三郎
隊行進曲はずいぶんよかったわね、ってそ言ってやったわ。ほんとはマスネエの逝く春を惜しむ悲歌を弾いたんだったけど。皮肉っていや、そりゃ皮肉なのよ、その人は。いつだ....
黒百合」より 著者:泉鏡花
下すった体だよ、私が見ても違いはないね。 金目の懸った宝なんざ、人が大切がって惜しむもので、歩るくにも坐るにも腰巾着につけていようが、鎖を下ろしておこうが、土....
無題抄」より 著者:上村松園
言葉であろうと思います。 ならぬは人のなさぬなりけり――とは、人が最後の努力を惜しむから成らぬのであるということで、結局最後は天地の大いなる力がそこに働いて、....
スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
のだった。じつのところ、彼は良心的な男で、いつも心に例の金言を銘じていた。「鞭を惜しむと、子供は甘くなる」イカバッド・クレーンの生徒たちはたしかに甘やかされては....
瘠我慢の説」より 著者:石河幹明
て漫に他より断定するを得ず。 当人の心事如何は知るに由なしとするも、左るにても惜しむべきは勝氏の晩節なり。江戸の開城その事|甚だ奇にして当局者の心事は解すべか....
雪柳」より 著者:泉鏡花
によく利いた。人間|業に似ない、と界隈一帯、近く芝、となり赤坂辺まで、その行方を惜しむといいます。 ――雪の家は、川崎辺へ越した、今はありません。 尼が畜生....