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惰
「惰〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
惰の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「羅生門の後に」より 著者:芥川竜之介
新思潮」に、一度掲載されたものである。
この期間の自分は、東京帝国文科大学の怠
惰なる学生であった。講義は一週間に六七時間しか、聴きに行かない。試験は何時《いつ....
「大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
は、――時には中流上層階級の青年にも妙に他人らしい憎悪を感じた。彼等の或ものは怠
惰だった。彼等の或ものは臆病《おくびょう》だった。又彼等の或ものは官能主義の奴隷....
「第四の夫から」より 著者:芥川竜之介
っている。というのは何も風景だの、気候だのに愛着のある訣《わけ》ではない。実は怠
惰《たいだ》を悪徳としない美風を徳としているのである。
博学なる君はパンデン・....
「十円札」より 著者:芥川竜之介
こ》りの道を歩かせられるのは勿論永久の苦痛である。苦痛?――いや、苦痛ではない。
惰力《だりょく》の法則はいつのまにか苦痛という意識さえ奪ってしまった。彼は毎日無....
「葱」より 著者:芥川竜之介
酔っていた、お君さんの幸福な心の中には、そこに潜んでいた実生活が、突如としてその
惰眠から覚めた。間髪《かんはつ》を入れずとは正にこの謂《いい》である。薔薇《ばら....
「或る女」より 著者:有島武郎
は、すぐにも物をいい出しそうに口びるさえ震えていた。葉子も今まで続けていた回想の
惰力に引かされて、思わずほほえみかけたのであったが、その瞬間|燕返《つばめがえ》....
「或る女」より 著者:有島武郎
被《かつぎ》の下から、深く隠された感情が時々きらきらとひらめくような目を、少し物
惰《ものたる》げに大きく見開いて葉子の顔をつれづれと見やった。初対面の時には人並....
「広津氏に答う」より 著者:有島武郎
対する反証として、よくロシアの啓蒙運動が例を引かれるようだ。ロシアの民衆が無智の
惰眠をむさぼっていたころに、いわゆる、ブルジョアの知識階級の青年男女が、あらゆる....
「星座」より 著者:有島武郎
いながらなお読みつづけた)とかくは時勢転換の時節到来と存じ候男女を問わず青年輩の
惰眠《だみん》を貪《むさぼ》り雌伏《しふく》しおるべき時には候わず明治維新の気魄....
「初めて見たる小樽」より 著者:石川啄木
。階級といい習慣といい社会道徳という、我が作れる縄に縛られ、我が作れる狭き獄室に
惰眠《だみん》を貪《むさぼ》る徒輩《とはい》は、ここにおいて狼狽《ろうばい》し、....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
の夢が押し包む。 今岩内の町に目ざめているものは、おそらく朝寝坊のできる富んだ
惰け者と、灯台守りと犬ぐらいのものだろう。夜は寒くさびしくふけて行く。 君、君....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
いう無事の日暮しの中に、一日でも安きを偸もうとしているのだ。これが社会生活に強い
惰性となって膠着している。そういう生活態度に適応する為めには、お前のような行き方....
「最終戦争論」より 著者:石原莞爾
、せいぜいアフリカの植民地だけです。大英帝国はもうベルギー、オランダなみに歴史的
惰性と外交的駆引によって、自分の領土を保持しているところの老獪極まる古狸でござい....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
であり、模様であり、両者を切り離すことは、到底不可能である。就中畏るべきは習癖の
惰力である。習癖は深く魂の中に喰い入りて、しばしば個性の主要部となるに至るもので....
「戦争史大観」より 著者:石原莞爾
に於ける民族協和運動は今日まで遺憾ながらまだ成功してはいない。明治以来の日本人の
惰性の然らしむるところ、一度は陥るべきものであろう。しかし一面建国の精神は一部人....