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惹
「惹〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
惹の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「第四の夫から」より 著者:芥川竜之介
うと思っている。それには怠惰の美風のほかにも、多少は妻の容色《ようしょく》に心を
惹《ひ》かれているのかも知れない。妻は名はダアワといい、近隣でも美人と評されてい....
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
の工面にいつも重荷を背負いつづけだった。しかも更に浅ましいことには年の若いお芳に
惹《ひ》かれていたものの、少くともこの一二年は何度内心にお芳親子を死んでしまえと....
「報恩記」より 著者:芥川竜之介
の家《や》の主人や客に来た仲間が、どんな風流を楽しんでいるか?――そんな事に心が
惹《ひ》かれたのです。
襖《ふすま》の外に身を寄せるが早いか、わたしの耳には思....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
得る。じゃによって一つは三宝の霊験《れいげん》を示さんため、一つはその方の魔縁に
惹《ひ》かれて、無間地獄《むげんじごく》に堕ちようず衆生《しゅじょう》を救うてと....
「湖南の扇」より 著者:芥川竜之介
ルか何かをぶら下げた、如何にも子供らしい女だった。僕の目は或はそれだけでも彼女に
惹《ひ》かれたかも知れなかった。が、彼女はその上に高い甲板を見上げたまま、紅の濃....
「年末の一日」より 著者:芥川竜之介
り、電車中の人々を眺めまわした。それは人々の同情を、――少くとも人々の注意だけは
惹《ひ》こうとする顔に違いなかった。が、誰《たれ》も言い合せたように全然彼女には....
「或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
だけである。
しかし、内蔵助《くらのすけ》の笑わなかったのは、格別二人の注意を
惹かなかったらしい。いや、人の好い藤左衛門の如きは、彼自身にとってこの話が興味あ....
「路上」より 著者:芥川竜之介
学生と、花房《はなぶさ》と云う仏蘭西《フランス》文科の学生とが、特に俊助の注意を
惹《ひ》いた人物だった。近藤は大井よりも更に背の低い、大きな鼻眼鏡をかけた青年で....
「西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
でもいるように、慌しく眼にはいって来る。が、それらのすべてよりも本間さんの注意を
惹《ひ》いたものは、向うのテエブルに肘《ひじ》をついて、ウイスキイらしい杯を嘗《....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
思兼尊の言葉は、真面目とも不真面目ともつかない内に、蜜か毒薬か、不思議なほど心を
惹《ひ》くものが潜《ひそ》んでいたのであった。
「鉤《かぎ》が呑めるのは魚だけで....
「二つの手紙」より 著者:芥川竜之介
《いちべつ》しなかったなら、私は恐らく大声をあげて、周囲の注意をこの奇怪な幻影に
惹《ひ》こうとした事でございましょう。
しかし、妻の視線は、幸にも私の視線と合....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
ぬものかしらと感心したことでございました。 もう一つ爰の景色の中で特に私の眼を
惹いたものは、向って右手の山の中腹に、青葉がくれにちらちら見える一つの丹塗のお宮....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
っとした暗示、ちょっとした誘惑にも容易に動かされる。よしそうした劣情が、実際的に
惹起されるまでに至らなくとも、兎に角人々の道徳的均衡が覆されて居るのは、甚だ危険....
「蜜柑」より 著者:芥川竜之介
れる声と一しょに、せわしなく耳へはいって来る。これは勿論私にも、幾分ながら同情を
惹くに足るものには相違なかった。しかし汽車が今|将に隧道の口へさしかかろうとして....
「墓」より 著者:秋田滋
しい眼は、あなたにとっては宇宙よりも広く感じられ、世界の何ものよりもあなたの心を
惹くように思われるのです。つまり、そのひとはあなたを愛しているのです。そのひとが....