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愁
「愁〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
愁の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
洋服を着た菊五郎と銀杏返《いちょうがえ》しの半四郎とが、火入《ひい》りの月の下で
愁嘆場《しゅうたんば》を出している所です。これを見ると一層あの時代が、――あの江....
「奇遇」より 著者:芥川竜之介
き》に蟹《かに》と云うのだから、僕の満足は察してくれ給え。実際僕は久しぶりに、旅
愁《りょしゅう》も何も忘れながら、陶然《とうぜん》と盃《さかずき》を口にしていた....
「煙管」より 著者:芥川竜之介
―少くともなったくらいである。
これを聞いた、山崎、岩田、上木の三人は、また、
愁眉《しゅうび》をあつめて評議した。こうなっては、いよいよ上木の献策通り、真鍮の....
「大川の水」より 著者:芥川竜之介
ぼつかない汽笛の音と、石炭船の鳶色《とびいろ》の三角帆と、――すべてやみがたい哀
愁をよび起すこれらの川のながめは、いかに自分の幼い心を、その岸に立つ楊柳《ようり....
「路上」より 著者:芥川竜之介
国へ帰らなければならないような理由を書き下《おろ》してさ。それから女と泣き別れの
愁歎場《しゅうたんば》がよろしくあって、とどあの晩汽車の窓で手巾《ハンケチ》を振....
「将軍」より 著者:芥川竜之介
盗の縄尻《なわじり》を捉《とら》えた。その後《あと》は署長と巡査との、旧劇めいた
愁歎場《しゅうたんば》になった。署長は昔の名奉行《めいぶぎょう》のように、何か云....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
事を愛するものは瑣事の為に苦しまなければならぬ。庭前の古池に飛びこんだ蛙は百年の
愁を破ったであろう。が、古池を飛び出した蛙は百年の
愁を与えたかも知れない。いや、....
「手紙」より 著者:芥川竜之介
しさを少しも不足には思っていません。しかしK君やS君は時々「我等の都会に対する郷
愁」と云うものを感じています。M子さん親子も、――M子さん親子の場合は複雑です。....
「忠義」より 著者:芥川竜之介
た。が、別に殿中では、何も粗※《そそう》をしなかったらしい。宇左衛門は、始めて、
愁眉《しゅうび》を開く事が出来るような心もちがした。
しかし、彼の悦びは、その....
「或る女」より 著者:有島武郎
葉子は傘《かさ》を杖《つえ》にしながら思いにふけって歩いて行った。
こもった哀
愁が、発しない酒のように、葉子のこめかみをちかちかと痛めた。葉子は人力車の行くえ....
「三つの窓」より 著者:芥川竜之介
。が、やむを得ない場合だけは必ず画帖などにこう書いていた。 君看双眼色 不語似無
愁 3 一等戦闘艦×× 一等戦闘艦××は横須賀軍港のドックにはいるこ....
「追憶」より 著者:芥川竜之介
花に何か悲壮な心もちを感じた。 それから何年かたったのち、僕は白柳秀湖氏の「離
愁」とかいう小品集を読み、やはり歩兵の靴から出る火花を書いたものを発見した。(僕....
「歯車」より 著者:芥川竜之介
は実は庭の枯芝や池だったことを発見した。けれども僕の錯覚はいつか僕の家に対する郷
愁に近いものを呼び起していた。 僕は九時にでもなり次第、或雑誌社へ電話をかけ、....
「ある自殺者の手記」より 著者:秋田滋
と私の生涯の懐かしい幾つかの小説が私をいつ果てるとも知れぬものの云いようのない憂
愁の中に沈めてしまった。この小説中の女主人公たちは今でも生きていて、もう髪は真ッ....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
と言うまでは勇気ありしが、この暇乞の語を出し終りたる後は胸一杯、言うべからざる暗
愁を醸し生じたり。自ら呼吸を強くし力足を踏み、町はずれまで送りし人々の影を見かえ....