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愁歎
「愁歎〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
愁歎の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「路上」より 著者:芥川竜之介
国へ帰らなければならないような理由を書き下《おろ》してさ。それから女と泣き別れの
愁歎場《しゅうたんば》がよろしくあって、とどあの晩汽車の窓で手巾《ハンケチ》を振....
「将軍」より 著者:芥川竜之介
盗の縄尻《なわじり》を捉《とら》えた。その後《あと》は署長と巡査との、旧劇めいた
愁歎場《しゅうたんば》になった。署長は昔の名奉行《めいぶぎょう》のように、何か云....
「雛妓」より 著者:岡本かの子
出されて来た。食品を運んで来る女中は、わたくしたち中年前後の夫妻が何か内輪揉めで
愁歎場を演じてるとでも思ったのか、なるべくわたくしに眼をつけないようにして襖から....
「斜陽」より 著者:太宰治
誌を読んでいる直治に、 「お母さまが、お呼びですよ」 というと、 「わあ、また
愁歎場か。汝等は、よく我慢してあそこに頑張っておれるね。神経が太いんだね。薄情な....
「惜別」より 著者:太宰治
ろに感心したりして、そうして、雀三郎の政岡の「とは言うものの、かわいやな」という
愁歎場を見て泣き、ふと傍を見ると、周さんが立っている。やっぱり涙を流している。そ....
「鉄面皮」より 著者:太宰治
せつの御文籍をたくさん焼かれても、なんのくったくも無げに、私と一緒に入道さまの御
愁歎をむしろ興がっておいでのその御様子が、私には神さまみたいに尊く有難く、ああも....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
りにしてみたものらしい。親ながら、父も暫くその顔を見据えただけで、この際、特別な
愁歎場を見せないで、仕置場の方へ曳かれて行ってしまったことが、見物にはあっけない....
「阿Q正伝」より 著者:井上紅梅
膝が真直ぐになり、頭の上の辮子が無くなっていた。彼の母親は大泣きに泣いて十幾幕も
愁歎場を見せた。彼の祖母は三度井戸に飛び込んで三度引上げらた。あとで彼の母親は到....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
でもまったく同じであった。相も変わらず例の「思い違いをしている」一点ばりの無理な
愁歎をして、結局は、「友達になりましょう」と、いまだに執拗に望んでいた。 わた....
「ドモ又の死」より 著者:有島武郎
、娘でも連れてはいってくる。花田の弟になり切った俺がおまえといっしょにここにいて
愁歎場を見せるという仕組みなんだ。どうだ仙人どももわかったか。花田の弟になる俺は....
「雪の日」より 著者:永井荷風
ることのできない彼岸を望む時の絶望と悔恨との淵に人の身を投込む……。回想は歓喜と
愁歎との両面を持っている謎の女神であろう。 ○ 七十になる日も....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
ので、私の妻はほとんど狂気のごとくに歎き私も漁に出掛けても少しも面白くないという
愁歎話。そこで私は尋ねた。「あなたは子供を失うたのがそれほど悲しいが、もしあなた....
「澪標」より 著者:外村繁
る。更に酒気なくて、一人で夜を過すのが、何よりも苦痛である。 しかし妻は務めて
愁歎の表情は見せようとしない。朝夕、妻は勤務の前後に決って私の前に姿を見せる。そ....
「追放されて」より 著者:神西清
…どっち途死ぬんだ。いくらじたばたしたって死ぬ。そこであの男の一生もお仕舞いだ。
愁歎のあまり首でも縊るか、それともロシヤへ逃げて行くか、どっちかに極っている。逃....
「俗臭」より 著者:織田作之助
ったから、伝三郎は承諾した。それはよかったが、彼には、今こゝで思い掛けなく別れの
愁歎場を見なければならぬのが辛かった。別れを告げるのに一時間も掛り、千恵造は一先....