愁訴[語句情報] »
愁訴
「愁訴〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
愁訴の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「未帰還の友に」より 著者:太宰治
義侠心に訴えて、さらに一本を懇願しても、顔をしかめるばかりで相手にしない。さらに
愁訴《しゅうそ》すると、奥から親爺が顔を出して、さあさあ皆さん帰りなさい、いまは....
「外套」より 著者:ゴーゴリニコライ
中までがしばしば外套を剥ぎとられるので、すっかり感冒の脅威にさらされているという
愁訴の声がのべつに聞えてきた。警察では、どんなことがあっても、生きたものであろう....
「反戦文学論」より 著者:黒島伝治
。) フランツ・ウェルフェル――「トロヤの女」(戦敗者の悲惨と戦勝者の残酷とを
愁訴したものである。) エルンスト・トルレル――「独逸男ヒンケルマン」「変転」....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
るを失わない。 支倉の自白に立会った人はその真実を信じるだろうし、収監以後彼の
愁訴を聞いた人達は又彼の云う所を信ずるであろう。木藤大尉は彼を哀れんで助けようと....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
りだった。伊那助郷が木曾にある下四宿の宿役人を通し、あるいは直接に奉行所にあてて
愁訴を企てたのは、その日に始まったことでもない。三十一か村の助郷を六十五か村で分....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
くなって、博打はうつ、問屋で払った駄賃も何も飲んでしまって、村へ帰るとお定まりの
愁訴だ――やれ人を牛馬のようにこき使うの、駄賃もろくに渡さないの、なんのッて、大....
「家」より 著者:島崎藤村
お倉は笑いながら答える。 「オイ、稲垣君、君は細君を掃出したなんて――今、細君が
愁訴に来たぜ」と宗蔵も心やすだてに。 「いえ――ナニ――」と稲垣は苦笑して、正直....
「読書法」より 著者:戸坂潤
いことを注目してかかる必要があろう。勿論アタマのよい論文で、作文としても修辞的で
愁訴力に富んでいたり扇動力を持っていたりすれば、それに越したことはない。 論文....
「太十と其犬」より 著者:長塚節
き乱して畢った。彼は殺すと口には断言した。然し彼の意識しない愛惜と不安とが対手に
愁訴するように其声を顫わせた。殺すなといえばすぐ心が落ち付いて唯其犬が不便になっ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
れる譬《たと》えに違《たが》わぬ、天下の旗本、今の時節を何と思うぞ、一同こぞって
愁訴《しゅうそ》をやらかせ、二百年来寝ながら食ったる御恩を報ずる時節はここだぞ、....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
本、しっかりしなせえ 今の時節はなんと思うぞ 一同|挙《こぞ》って京都へ詰め寄せ
愁訴と出かける覚悟はないかえ さりとは困った腰抜け揃《ぞろ》いだ 鳶《とび》の人....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
ために心を痛めていた。弟は孤独の悲しさをいつも姉に隠すだけの勇気がなかった。彼の
愁訴はいちいちアントアネットの心に、胸が裂かれるような強さで響いた。彼女は弟が苦....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
声がそれに配せられる楽器と結合して、その流暢《りゅうちょう》な各節に音楽の夢想と
愁訴との反響を慎み深く混和してる、新しい一種類を創《つく》り出すのが主眼である。....
「顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
ならば、今のうち。……家慶公はひと思いに斬ってしまおうとなさったが、本寿院さまの
愁訴にさえぎられて殺すことだけは思いとまられ、十歳になったら僧にして、草深い山里....
「奥州における御館藤原氏」より 著者:喜田貞吉
留守所の吏員は従来の慣例に背き、地頭の間田を検出しようとしたので、ために地頭らの
愁訴となり、同月二十四日大江広元の名をもって、出羽留守所宛に左の命令が執達された....