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意地悪い
「意地悪い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
意地悪いの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「富士」より 著者:岡本かの子
。その不快さ。咳、濁って煤けた咳。六つも七つも続けさまに出る。胸から咽喉へかけて
意地悪い痩せこけて骨張った手が捏《こ》ねくり廻しているようだ。辛い。わたしは顔を....
「白蟻」より 著者:小栗虫太郎
ええ、死ねやしないでしょうとも、私だって同じことですわ。これがあるばかりに、妙に
意地悪い考えばかり泛《うか》んできて、もし死ぬまで出なかったら、死に際にありたけ....
「三人の双生児」より 著者:海野十三
ことも、また社会的に葬ることも、あまり好まないんでございますが――」 と女史は
意地悪いまでの落着きを見せて、 「でも困りましたねえ――」 「お礼なら十分します....
「出家とその弟子」より 著者:倉田百三
のに。 かえで きっと村萩さんが告げ口をしたのよ。今晩もおかあさんのそばにいて、
意地悪い皮肉や、針のあるいやみをならべましたわ。 浅香 村萩さんもかえ、皆して小....
「天馬」より 著者:金史良
っかりうろたえて、へーと笑いながら首筋に手をやるとぺこんと頭を下げた。角井は傍で
意地悪い声を出してけけけと突然嗤うのだった。大村はここに玄竜がいるのを見て急に不....
「シベリヤに近く」より 著者:里村欣三
待て! 彼奴等は何が不足なのだ?」 「は、賃金の値上げをしろというんです。奴等の
意地悪い手なんです。こっちの弱味につけ込んで無理を通そうという腹なんです。Nまで....
「地球要塞」より 著者:海野十三
“見えるだろう。この旗艦ユーダ号につづく主力艦隊の諸艦が” X大使のこえは、
意地悪い響をもっている。 “さあ、見たまえ。後続艦オレンジ号が、これからどんなこ....
「今昔ばなし抱合兵団」より 著者:海野十三
来たんなら、これからいって拾ってくるがいいじゃないか」 「それが……」 役人は
意地悪い顔つきで、私を睨みつけている。仕様がない。なけなしの財布の底をはたくより....
「火薬船」より 著者:海野十三
は、たずねた。 「まあ、しずかにして、もっと先を見ているがいい」 船長のこえは
意地悪い調子をおびていた。 映写機はことこととおとをたて、フィルムをくりだす。....
「一九五〇年の殺人」より 著者:海野十三
も足並が揃わず、二本の手は激しく抓り合っている。 「さあ、こっちへ来い」と課長は
意地悪い笑みを浮べて云った。 「当分この状態で暮してみろ。不便で参ったら、例の罰....
「三十歳」より 著者:坂口安吾
あの人は、私のことを、あなたは天才だからなどと言いながら、そんな見方に定着しない
意地悪い鋭さで、無慙に現実的な観察を私の全部に行きとゞかせていたのだ。 たとえ....
「水鳥亭」より 著者:坂口安吾
あさましいと思うのは、亮作が誰よりも激しかったかも知れない。 女房や娘の汚くて
意地悪い表現によって、一匹のイワシに泣く己れの姿をシテキされては、もうオシマイで....
「オフェリヤ殺し」より 著者:小栗虫太郎
は私を戦かしている、恐怖の事などは考えられないのでしょう。ああ、いつまでも、あの
意地悪い幻にとりつかれているのでしょうか。いまも貴方のお声が――あの圧しつけるよ....
「皇海山紀行」より 著者:木暮理太郎
降りがちな天候は、十一月に入ってもからりと晴れた日は続かなかった。ことに土曜から日曜へかけてはよく降った。この
意地悪い雨のために出鼻をくじかれて、出発はもう予定より三週間も遅れてしまった。こ....
「曠野」より 著者:小川未明
めてくれたのは、空をゆく雲でもなければまた小鳥たちでもありませんでした。それは、
意地悪い風だったのです。伸びればますます強く荒く風はあたりました。 かえりみる....