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愕然
「愕然〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
愕然の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
で、のしかかるように云い切った。日頃から物に騒がない本間さんが、流石《さすが》に
愕然としたのはこの時である。が、理性は一度|脅《おびやか》されても、このくらいな....
「或る女」より 著者:有島武郎
ていると、その音はだんだん病室のほうに近寄って来た。……愛子ではないか……葉子は
愕然《がくぜん》として夢からさめた人のようにきっとなってさらに耳をそばだてた。
....
「外科室」より 著者:泉鏡花
を」 「ええ」と看護婦の一人は、目を※《みは》りて猶予《ためら》えり。一同斉しく
愕然《がくぜん》として、医学士の面を瞻《みまも》るとき、他の一人の看護婦は少しく....
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
しわがかたわらに媚《なま》めける声ありて、 「もうかれこれ一時ですよ」 馭者は
愕然《がくぜん》として顧みれば、わが肩に見覚えぬ毛布《ケット》ありて、深夜の寒を....
「夜行巡査」より 著者:泉鏡花
…夜目にもいかで見紛《みまが》うべき。 「おや!」と一言われ知らず、口よりもれて
愕然《がくぜん》たり。 八田巡査は一注の電気に感ぜしごとくなりき。 ....
「雛がたり」より 著者:泉鏡花
石がころころと動くと、柔かい風に毛氈を捲いて、ひらひらと柳の下枝に搦む。 私は
愕然として火を思った。 何処ともなしに、キリリキリリと、軋る轅の車の響。 鞠....
「天守物語」より 著者:泉鏡花
した、お家の重宝、青竜の御兜。 夫人 まったく、それに違いありません。 図書 (
愕然とす。急に)これにこそ足の爪立つばかり、心急ぎがいたします、御暇を申うけます....
「薬草取」より 著者:泉鏡花
く、時しも夏の初を、秋見る昼の月の如く、前途遥なる高峰の上に日輪を仰いだ高坂は、
愕然として振返った。 人の声を聞き、姿を見ようとは、夢にも思わぬまで、遠く里を....
「売色鴨南蛮」より 著者:泉鏡花
鼻の隆いその顔が、ひたひたと横に寄って、胸に白粉の着くように思った。 宗吉は、
愕然とするまで、再び、似た人の面影をその女に発見したのである。 緋縮緬の女は、....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
って来て、先生の御馳走になるんですって。」 とまた顔を見る。 この時、先生|
愕然として頸をすくめた。 「あかぬ! 包囲攻撃じゃ、恐るべきだね。就中、銑太郎な....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
守って、今までに秋毫も、さる気色のなかったほど、一層大いなる力あることを感じて、
愕然とした。同時に今までは、お雪を救うために造られた、巌に倚る一個白面、朱唇、年....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
原はまた目を覚した。 トもまだ心着かないで、 「今、開けます。」 と言って、
愕然として我に返った。 「また、夢か。」 今度は目が覚めつつも、まだ、その俤が....
「白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
たと見えて――挨拶をした時は、ふり向きもしなかったのが――お絹をこの時見返って、
愕然とした様子です。…… ところで、何でも、その桜の枝と、瓢箪が、幇間の手に渡....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
る。 ふとお悦を見ると、額の疵あとが颯と薄化粧を切って、その色はやや蒼ざめた。
愕然、茫然、唖然として立竦んだ八郎がたちまち恭しくお辞儀をして、 「誰方も御見物....
「妖怪報告」より 著者:井上円了
からん、「父大病につき、ただちに帰宅せよ」と、親戚某より寄するところの電報なり。
愕然、大いに憂懼す。しかれども、公事を帯び羈客の身となる。ほしいままに帰省なしが....