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「愛妻〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

愛妻の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
黒猫」より 著者:佐々木直次郎
言って、ただ気違いじみた空威張《からいば》りから、手にした杖《つえ》で、ちょうど愛妻の死骸が内側に立っている部分の煉瓦細工を、強くたたいた。 だが、神よ、魔王....
緑の芽」より 著者:佐左木俊郎
》も、百姓などしねえげ、まだまだ死ぬのでなかったべ……」 彼は、若くして死んだ愛妻の死の前後を、その哀しむべき半生を心の中で思い描いた。――それは菊枝を生んで....
乱世」より 著者:菊池寛
砲した以上、命がないかもしれない。そうした考えが、ひしひしと彼の胸に迫ってくる。愛妻のおもとと水杯を交わすとき、格之介は、不覚にも涙を流した。 ....
恐怖の口笛」より 著者:海野十三
ように、彼は千鳥と結婚をした。二人の仲は極めて円満である。 「君は(――と一郎は愛妻のことを今もこう呼んでいた)青竜王と一郎とが同じ人物だったということを、ジュ....
神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
利氏となると、義政一人この術を喜び、四散していた造顔師達を京都の土地へ呼び集め、愛妻富子の美しい顔を一層美しく手入れさせたと一条兼良の手記にある。しかし間もなく....
宇宙尖兵」より 著者:海野十三
にちょっと話がある。部屋へ一緒にいってくれ」 まだ諦められないらしく、ベランは愛妻ミミ女史を引立てるようにして、倶楽部を出ていった。あとでは爆笑が起った。 ....
大切な雰囲気」より 著者:小出楢重
思う。 (「大阪朝日新聞」昭和四年十一月) 欧洲からの手紙 ――愛妻重子へあてて―― 一九二一年八月七日 支那上海に於て 門司を出て、お母さ....
華々しき瞬間」より 著者:久坂葉子
すわ」 「そうかしら、私、六ちゃんの夫婦は、とてもいい御夫婦だと思ってよ。あの人愛妻家よ」 南原杉子はにこやかである。 「あなたは嫉かないの」 南原杉子は、....
青春論」より 著者:坂口安吾
り得るか! 何物が有り得ても、恐らく満ち足りることが有り得ないのだ。 この春、愛妻家の平野謙が独身者の僕をみつめてニヤニヤ笑いながら、決死隊員というものは独身....
現代忍術伝」より 著者:坂口安吾
に専務とよばなきゃ、いけなくなっちゃったね。曾ては、妹とよびたりし乙女は、社長の愛妻であり、又、重役であり、しかれども、恨みも怒りも一片だにありませんです。すべ....
わが精神の周囲」より 著者:坂口安吾
て一晩泣き通していたじゃないか。手術をするんだぞ」 と、大変な見幕であったが、愛妻家の大井広介が奥さんの乳癌にテンドウしたのは当然であろう。私は乳癌を癌のうち....
バットクラス」より 著者:岡本かの子
に売り込んだ彼の家門の誉れも水の泡だ。 これ程のスワンソン氏の物質的起伏も彼の愛妻である美貌のスワンソン夫人の消費生活にはさしたる波動を及ぼさない。英国紳士た....
鼻に基く殺人」より 著者:小酒井不木
)は遂に意識を恢復せずして四日午前九時絶命せるが其後原因取調中一時は五ヶ月以前に愛妻を失いたる厭世自殺ならむかとも疑われしが右は全く同人の過失にて同日書斎にて猟....
噴水物語」より 著者:岡本かの子
私に新噴水の力学上の関係や構造の近代性を頻りに説明した。磊落を装っているが、若い愛妻の詩的精神に使役されて、如何にこの噴水構造に苦心したかを暗に談話のうちにほの....
深夜の客」より 著者:大倉燁子
も恐しい罪に戦きました。咄嗟の間に人間を二人も殺し、しかも、一人は命にも代え難い愛妻なのです。親友はあのごたごたの始まる前に逃げ帰ったと見えて、警官が来た頃には....