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「愛惜〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

愛惜の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
松江印象記」より 著者:芥川竜之介
いる。ただ、幸いにしてこの市《まち》の川の水は、いっさいの反感に打勝つほど、強い愛惜《あいじゃく》を自分の心に喚起してくれるのである。松江の川についてはまた、こ....
毛利先生」より 著者:芥川竜之介
なるのに従って、そう云う先生の存在自身さえ、ほとんど忘れてしまうくらい、全然何の愛惜も抱かなかったものである。 すると大学を卒業した年の秋――と云っても、日が....
素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
さなかった。手力雄尊は素戔嗚の罪を憎みながらも、彼の非凡な膂力《りょりょく》には愛惜の情を感じていた。これは同時にまた思兼尊が、むざむざ彼ほどの若者を殺したくな....
二、三羽――十二、三羽」より 著者:泉鏡花
嵐雪の句は知っていても、今朝も囀った、と心に留めるほどではなかった。が、少からず愛惜の念を生じたのは、おなじ麹町だが、土手三番町に住った頃であった。春も深く、や....
生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
海道ハ秋モ晩クナリマシタ。野原ハ、毎日ノヨウニツメタイ風ガ吹イテイマス。 日ゴロ愛惜シタ樹木ヤ草花ナドガ、イツトハナク落葉シテシマッテイル。秋ハ人ノ心ニイイロナ....
追憶」より 著者:芥川竜之介
こへ行ったか、今はもう本屋でも見かけたことはない。しかし僕は同氏の文章にいまだに愛惜を感じている。ことに東京の空を罩める「鳶色の靄」などという言葉に。 ....
最終戦争論」より 著者:石原莞爾
標となった結果であった。封建君主がその領土、人民を子孫に伝えるため、十分にこれを愛惜する専制政治は、その時代には最もよい制度であったのである。しかし人智の進歩は....
眉かくしの霊」より 著者:泉鏡花
池を廻って響いて来た。人の来るのは、なぜか料理番だろうと思ったのは、この池の魚を愛惜すると、聞いて知ったためである。…… 「何だい、どうしたんです。」 雨戸を....
灰燼十万巻」より 著者:内田魯庵
もなきように思う今日、此の如く人文程度の低い日本では西欧知識の断片零楮も猶お頗る愛惜しなければならない。眇たる丸善の損害は何程でもなかろうが、其肆頭の書籍は世間....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
っては交わされない。 美しき夢見るお方、」 あれ、かしこに母君|在ますぞや。愛惜の一念のみは、魔界の塵にも曇りはせねば、我が袖、鏡と御覧ぜよ。今、この瞳に宿....
灯明之巻」より 著者:泉鏡花
のより毬唄の方が、現実を曝露して、――女は速に虐げられているらしい。 同時に、愛惜の念に堪えない。ものあわれな女が、一切食われ一切食われ、木魚に圧え挫がれた、....
琵琶伝」より 著者:泉鏡花
近に来り、心着けば土饅頭のいまだ新らしく見ゆるにぞ、激しく往時を追懐して、無念、愛惜、絶望、悲惨、そのひとつだもなおよく人を殺すに足る、いろいろの感情に胸をうた....
葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
せて見て、咽喉を突かれてでも、居はしまいか、鳩尾に斬ったあとでもあるまいか、ふと愛惜の念|盛に、望の糸に縋りついたから、危ぶんで、七兵衛は胸が轟いて、慈悲の外何....
戦争史大観」より 著者:石原莞爾
下に一挙に迅速に決戦を行なうと、最初はまずなるべく敵に損害を与えつつ、わが兵力を愛惜し、機を見て決戦を行なうとの二種に分かつを得べし。 二 しかして両者いずれに....
本所両国」より 著者:芥川竜之介
の鉄橋には懐古の情も起って来ない。僕は昔の両国橋に――狭い木造の両国橋にいまだに愛惜を感じている。それは僕の記憶によれば、今日よりも下流にかかっていた。僕は時々....