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「愛想笑い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

愛想笑いの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
老ハイデルベルヒ」より 著者:太宰治
だな? 帰れ、帰れ。お客さんを連れて来たんだ。」 老人は起き上り、私達にそっと愛想笑いを浮べ、佐吉さんはその老人に、おそろしく丁寧なお辞儀をしました。江島さん....
奈々子」より 著者:伊藤左千夫
。 親戚の妻女《さいじょ》だれかれも通夜《つや》に来てくれた。平生《へいぜい》愛想笑いをする癖が、悔やみ言葉の間に出るのをしいてかみ殺すのが苦しそうであった。....
青春の逆説」より 著者:織田作之助
長くひっぱるような声がきこえて、おいでやすと、やがて母親が出て来た。客に見せる愛想笑いを顔に釘づけながら出て来たのだが、豹一の顔を見た途端、その笑がすっと崩れ....
耽溺」より 著者:岩野泡鳴
、聴き糺したりした。期せずして真面目な、堅苦しい会合となった。お袋は不安の状態を愛想笑いに隠していた。 その間に、吉弥はどこかへ出て行った。あちらこちらで借り....
蠅男」より 著者:海野十三
帆村がいった。女は黙って、なおも砂を帆村の頸の方にまで積んでいった。女はさっきの愛想笑いに似ず、急に無口のようになって、帆村の頸のあたりに、妙な具合に両手をから....
母子叙情」より 著者:岡本かの子
フェ・ル・ドームを流した後らしく、入って来て、客の気分を見計いながら、鉛筆の先と愛想笑いで頼み手を誘惑しているが、誰も相手にしない。 「さあ、とうとう、やって来....
わが町」より 著者:織田作之助
た。はっと緊張し、 「よう来て呉れはりました」 初対面の挨拶代りにそう言って、愛想笑いを泛べた。母親の葬式の日に笑顔を見せるのは辛かったが渋い顔は気性からいっ....
神秘昆虫館」より 著者:国枝史郎
華子は、ガラリと態度を一変した。まず突き付けた杖を引き、片膝を突くと首を延ばし、愛想笑いを眼に湛え、その眼で桔梗様の顔を覗き、猫撫で声で云い出したのである。 「....
無毛談」より 著者:坂口安吾
子は男ぎらいなんでしょう。御用聞きが品物を届けにきても、有難うも言わなけりゃ、お愛想笑い一つしないのよ。品物を受けとると、ジャケンなぐらい、ピシャリッと戸をしめ....
明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
来やしたから、二円の御祝儀をいただきやしょう」 祝儀がよいから、捨吉はせいぜい愛想笑いのようなものをフンパツしてみせる。老人は行李をつませて、二円を与えたが、....
貞操問答」より 著者:菊池寛
ち上って挨拶すると、 「お初に。お名前はおききしていました。」と、さすがにかるい愛想笑いを見せた。 「どうぞ、勤めさして頂きたいと存じます。」と、新子がいうと、....
一商人として 」より 著者:相馬愛蔵
る、無断の通行はならんよ』そう言って私を呼び止めた門番氏は、次には声をやわらげて愛想笑いさえ見せて『どうだね、中村屋は有名だから、職工らも今日から良いパンを食べ....
剣侠」より 著者:国枝史郎
ていた。 想う女を生地獄へ送った。――そんな気振など微塵もなく、嘉門は機嫌よく愛想笑いをして、多四郎との閑談にふけっていた。 処士とはいっても所の領主、松平....
ドーヴィル物語」より 著者:岡本かの子
れた。女はイベットから無視されたにも拘らず、イベットが此方を向くとそそくさ目礼し愛想笑いをし、送りキッスまでした。而も顔は興奮に青ざめ、息使いまでがせわしい。女....
藤十郎の恋」より 著者:菊池寛
さあ、お休みなされませ。彼方へ行ったら女どもに、水など運ばせましょうわいな」と、愛想笑いを残して足早に部屋を出ようとした。その刹那である。藤十郎の心にある悪魔的....