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「愛欲〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

愛欲の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
偸盗」より 著者:芥川竜之介
わ。」 次郎は、立ち止まって、沙金の顔を見おろした。女の目は、侮蔑《ぶべつ》と愛欲とに燃えて炭火のように熱を持っている。 「あなたのためなら、わたしたれを殺し....
河童」より 著者:芥川竜之介
も困難である。疑うものは弁護士を見よ。 × 矜誇《きょうか》、愛欲、疑惑――あらゆる罪は三千年来、この三者から発している。同時にまたおそらくは....
仇討禁止令」より 著者:菊池寛
秘して、その娘と契りを結ぶことなどは、男子のなすべきことでないという気持が、彼の愛欲をぐっと抑えつけてしまうのである。 彼は、しばらくはお八重の泣くのにまかせ....
クララの出家」より 著者:有島武郎
て、そっと掌で髪から頬を撫でさすった。その手に感ずる暖いなめらかな触感はクララの愛欲を火のようにした。クララは抱きしめて思い存分いとしがってやりたくなって半身を....
出家とその弟子」より 著者:倉田百三
とはよく知っているのだがな。浅ましいことじゃ。わしは一生の間|煩悩の林に迷惑し、愛欲の海に浮沈しながらきょうまで来た。絶えず仏様の御名を呼びながら、業の催しと戦....
」より 著者:島崎藤村
。 三吉は家の内部を見廻した。彼とお雪の間に起った激しい感動や忿怒は通過ぎた。愛欲はそれほど彼の精神を動揺させなく成った。彼はお雪の身体ばかりでなく、自分で自....
人生における離合について」より 著者:倉田百三
すべきときには別離するというモラルがまた厳かにあるのである。離れ難い愛着を感じる愛欲の男女がこの上の結合が相互の運命を破壊しつくすことが見通されるとき、その絆を....
光り合ういのち」より 著者:倉田百三
って貰ったらいいだろう」 私は乱暴に口をきいたが、そのため自分でも思いがけなく愛欲が湧き起った。 「違います。僕はあなたが好きなんです」 「じゃ何故宮本君と仲....
今後の寺院生活に対する私考」より 著者:坂口安吾
理由もありません。生活はその人の信条で生きるもので要するに何でもかまいませんが、愛欲の絆もあきらめられない。禁欲生活の外分も保ちたいなんてのは、随分あさまし過ぎ....
剣侠」より 著者:国枝史郎
ア――遁そうや!」と叫ぶ、陣十郎の声がした。 9 澄江もお妻も振り返って見た。愛欲の鬼、妄執の餓鬼、殺人鬼、――鬼となった陣十郎が人波を分けて、二人の方へ走っ....
娘煙術師」より 著者:国枝史郎
の姫君姿の女と同じ女であった。いつぞやの夜にはその女が物いうごとに形容に絶した、愛欲をそそる馨しい匂いが、息苦しいまでに匂って来て、紋也を恍惚の境地へまで墜落さ....
女強盗」より 著者:菊池寛
女とその男に給仕した。こんな風にして、二、三日暮していた。男は、夢み心地に女との愛欲生活をたのしんでいた。すると、女が何か外出する用事はないかと訊いたので、ちょ....
婦人の過去と将来の予期」より 著者:小川未明
を満足することが、意義ある生活だと考えたところから彼等は、家庭を破壊して、新しい愛欲の生活に入ろうとつとめたものもある。 今から、ちょうど九年乃至十年前の日本....
正に芸術の試煉期」より 著者:小川未明
のために民衆のために、我等理想のためにということから、はなれて自己満足のために、愛欲の生活のために若くは、自己|韜晦のために、筆を採るというように、作家の意気を....
仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
らからその誘惑をうまく支配してしまう。その効果を仏教では「愛染行」(愛染明王の行愛欲に入ってしかも愛欲を度す)と言います。仏教修業の結果どんな熾烈な愛欲や誘惑の....