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愛翫
「愛翫〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
愛翫の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「煙管」より 著者:芥川竜之介
いた。もっとも断って置くが、彼の得意は決して、煙管そのものを、どんな意味ででも、
愛翫《あいがん》したからではない。彼はそう云う煙管を日常口にし得る彼自身の勢力が....
「猫と色の嗜好」より 著者:石田孫太郎
、殊に白いのや水色の如きは汚れ易いものであるから、猫の欲する上からも、又飼育して
愛翫する上からも、小猫には赤色の紐又は涎掛を用いるが好い子供の四五度も生んだ所の....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
くなった。古銭を蒐集することの好きな彼は、異国の銀貨を手に入れて、人知れずそれを
愛翫するうちに、そんな古銭にまじる銀貨から西洋というものを想像するようになった。....
「仮装人物」より 著者:徳田秋声
ある日古い友達の山村が、ふと庸三の部屋へ現われた。作家であった山村は瀬戸物の
愛翫癖があったところから、今は庸三の家からかなり離れた場所で、骨董品を並べていた....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
にそうも言えぬ。数年前予が今この文を草し居る書斎に対して住みいた芸妓置屋の女将が
愛翫したカジカ蛙が合掌して死んだは信心の厚い至りと喋々《ちょうちょう》して、茶碗....
「太郎坊」より 著者:幸田露伴
上に打付って、大片は三ツ四ツ小片のは無数に砕けてしまった。これは日頃主人が非常に
愛翫しておった菫花の模様の着いた永楽の猪口で、太郎坊太郎坊と主人が呼んでいたとこ....
「日輪」より 著者:横光利一
いた。そうして、彼女の右手の指に嵌っている五つの鐶は、亡き母の片身として、彼女の
愛翫し続けて来た黄金の鐶であった。彼女は牛車から降りると、一人の童男に共なわれて....
「妾の半生涯」より 著者:福田英子
しんいん》を欠くを以て、単《ひとえ》に実用に供するに止《とど》まり、美術品として
愛翫《あいがん》措《お》く能《あた》わざらしむる事なし。しかるに経済社会の進捗《....
「稀有の犯罪」より 著者:小酒井不木
対する趣味を同じくして、他人の秘蔵している宝石を盗んだのですが、いつも一定の時日
愛翫すると、それを売り払って、金にかえ、しばらくの間にその金を費い果してしまうの....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
「先生を知っていますよ、Aさんは。なんでも弁当箱に書かれたことがあるでしょう。
愛翫しているそうです。小田原の親戚からもらったといっていました。Aさんも相州の人....