感じ易い[語句情報] »
感じ易い
「感じ易い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
感じ易いの前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
漂っていた。――彼は未だにありありとこの朝の百本杭を覚えている。三十年前の本所は
感じ易い信輔の心に無数の追憶的風景画を残した。けれどもこの朝の百本杭は――この一....
「新生」より 著者:島崎藤村
不幸かは、岸本にも言えなかったが、すくなくも彼女が女の一生のうちの最も柔かく最も
感じ易い時代を自分と共に過して来たことは今日までの二人の小さな歴史でよく想像する....
「三つの窓」より 著者:芥川竜之介
どう云う死よりも幸福のように思われるのだった。 けれどもこの海戦の前の出来事は
感じ易いK中尉の心に未だにはっきり残っていた。戦闘準備を整えた一等戦闘艦××はや....
「電気風呂の怪死事件」より 著者:海野十三
した拍子で電気が強くなると、心臓をやられることもあるだろうね。人間の中でも電気に
感じ易い人と、感じの鈍い人とあるものだからね。同じ人間でも身体の調子によって、感....
「放浪の宿」より 著者:里村欣三
まるで、俺たちを歯牙にかけていないのだ。まるで太平洋のような度胸だな」 単純で
感じ易い左官は、涙にあふれるような感動を我慢して、黒パンの塊に手を伸ばした。 「....
「艸木虫魚」より 著者:薄田泣菫
可愛らしい姿を描き残している。 山の寂黙そのものを味うにも、この頃が一番よい。
感じ易い木の葉はもうそろそろ散りかかって、透けた木の間から洩れ落ちる昼過ぎの陽の....
「ある女の生涯」より 著者:島崎藤村
子を産んだという伏姫のことなぞが自然と胸に浮んで来た。おげんはまだ心も柔く物にも
感じ易い若い娘の頃に馬琴の小説本で読み、北斎の※画で見た伏姫の物語の記憶を辿って....
「フランダースの犬」より 著者:菊池寛
なことをしなくても、コゼツの目的は達せられました。 ネルロは男らしく、しずかで
感じ易い少年でしたから、もうそれ以後はあきらめて、たといひまがあっても、丘の上の....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
ていることは、二十人の女、否、すべての女を持っているようなものでした。彼女は実に
感じ易い性質といろいろの変わった風貌と、新しい生きいきとした魅力とをすべて身に備....
「男女の交際について」より 著者:坂口安吾
いものだ。 若い頃は、青春の生き生きした生命力と共に、暗さや失意と同時に孤独を
感じ易いものであるが、青春の孤独は同時に人生の孤独で、結局人間の魂は自分一人のも....
「名人地獄」より 著者:国枝史郎
れは私には初耳だ」「ところで楽器というものは、分けても笛と鼓とはだな、黄金の気を
感じ易い。名器になれば名器になるほど、黄金の気を強く感じ、必ずねいろが変化する。....
「桜花を詠める句」より 著者:杉田久女
云いしれぬ淋しさが、感じたままに言い放った言外にあふれている。花さく頃の悩ましく
感じ易い若い女性のもだえをよみ出ている。一方、こもりいの花なき里にも住みなれて、....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
気持《きもち》はいくらか和《やわら》いだ。ひとから尊敬《そんけい》されるとそれに
感じ易い老人《ろうじん》の方は、殊《こと》にそうだった。二人はルイザがそばで顔を....
「澪標」より 著者:外村繁
る母の場合、その感じは一段と深かろう。貞子が女学校に入学したばかりのことである。
感じ易い年齢でもある。母といっても妊娠するのである。その母と性を同じくしているの....