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感官
「感官〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
感官の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「自然界の縞模様」より 著者:寺田寅彦
規則な放射像を物理学の圏外に追いやる必要はないであろう。光の場合の不規則は人間の
感官認識能力の低度なおかげで「見えない」から平気であるが、現在の場合は「見える」....
「感覚と科学」より 著者:寺田寅彦
しかし、物の表面の「粗度」の物理的研究はまだ揺籃時代を過ぎない。これほどに有力な
感官の分析総合能力が捨てて顧みられない一つの理由は、その与えるデータが数量的でな....
「映画雑感(Ⅰ)」より 著者:寺田寅彦
するに人間という生理的機関の構造によって規定されたいろいろの物理的振動の週期性、
感官や運動機関の慣性と弾性と疲労とから来る心理的な週期性、なおまた人間常住の環境....
「映画芸術」より 著者:寺田寅彦
練なしにはその中から線や面を分析し抽出するようにできていない。これだけの根本的な
感官的性能の差違を考えただけでも抽象映画なるものの価値は理解されるであろう。それ....
「記録狂時代」より 著者:寺田寅彦
ん無器用になってもいいかというに、そうではなくて精密な器械を使うにはやはり精密な
感官を要するので、器械の発達につれて人間も発達しなければ間に合わない。大和魂だけ....
「試験管」より 著者:寺田寅彦
の音を瞬時に識別する能力はやはり驚くべきものである。 近代の物質的科学は人間の
感官を追放することを第一義と心得て進行して来た。それはそれで結構である。しかしあ....
「詩と官能」より 著者:寺田寅彦
どうも自分の詩の世界は自分のからだの生理的機能と密接にからみ合っていて直接な
感官の刺激によってのみ活動しているのではないかという気がするのである。これはあま....
「ゴルフ随行記」より 著者:寺田寅彦
候でもないらしい。全く何も比較の尺度のない一様な緑の視界はわれわれの空間に対する
感官を無能にするらしい。 途中から文科のN君が一緒になった。三人のプレイが素人....
「風と光と二十の私と」より 著者:坂口安吾
ではなかった。夜は疲れて熟睡した。 私と自然との間から次第に距離が失われ、私の
感官は自然の感触とその生命によって充たされている。私はそれに直接不安ではなかった....
「三十歳」より 著者:坂口安吾
、安らかな心は影だになかった。 私はあの人と対座するや、猟犬の鋭い注意力のみが
感官の全部にこもって、事々に、あの人の女体を嗅ぎだし、これもあの女に似てるじゃな....
「わが血を追ふ人々」より 著者:坂口安吾
の肉体を想像し、それがある人の自由のまゝであることを考へると、気が遠くなり、彼の
感官は分離して、四方八方の予期せざる箇所に苦痛な不安がはゞたくのだつた。彼はひど....
「学生と教養」より 著者:倉田百三
ならぬ。 彼はヘーゲルが概念をもって真の実在としたのをひるがえして、われわれの
感官に与えられた自然をもって実在とした。マルクスはさらに進んで意識を自然の反映で....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
をもっているからだ。五六十年も目のない生活をしていれば、その期間というものは他の
感官をはたらかして常にタンテイしているようなものでもあり、カタワのヒガミがあるか....
「省察」より 著者:デカルトルネ
けた夢の幻影にほかならないと考えよう。また私自身は手も、眼も、肉も、血も、何らの
感官も有しないもので、ただ間違って私はこのすべてを有すると思っているものと見よう....
「妖怪談」より 著者:井上円了
自然の勢いであります。 すなわち、われわれがさめておる間は、目や耳やいろいろの
感官に強い刺激を受けますから、心のうちに浮かんだる弱き夢は打ちまかされてついに消....