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愴
「愴〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
愴の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
ばむくと立たんずる勢いなり。 白糸は生まれてより、いまだかかる最期《さいご》の
愴惻《あさましき》を見ざりしなり。かばかりおびただしき血汐! かかるあさましき最....
「玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
だされ」 こう言い切って、彼女は明るい月をみあげた。きのうの稲妻に照らされた悽
愴《ものすご》い顔とは違って、今夜の月を浴びた彼女の清らかな神々《こうごう》しい....
「地球発狂事件」より 著者:海野十三
沖合に碇泊し、港内へは入らなかったが、傭船を以て給水を受けた。そして三時間後には
愴惶《そうこう》として抜錨《ばつびょう》し北極海へ取って返した。どうだ、面白い話....
「海底大陸」より 著者:海野十三
実際の指揮者である事務長クーパーは、まどのすきまから、甲板上に展開してゆくこの悽
愴な光景に魅せられたように、じっと見つめていた。いまやメリー号上の全員は、まくら....
「地球盗難」より 著者:海野十三
テンの蔭からヌッと現れてきたのは、まるで西洋の悪魔が無人島に流されたような実に凄
愴な顔をした辻川博士だった。髯といえば無精にも伸び放題となり、髪は一本一本逆だち....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
社務所の人は慰めてくれたが、なにしろ場所が場所である。孤島の雷雨はいよいよ凄
愴の感が深い。あたまの上の山からは瀧のように水が落ちて来る、海はどうどうと鳴って....
「地獄の使者」より 著者:海野十三
こが大木の空洞のようにぽっかりと明いていて、その見えないものが反って一種異様な凄
愴な気分をこの部屋に加えていた。その皮椅子の空洞にもう少し近づいて中を覗きこんだ....
「宇宙尖兵」より 著者:海野十三
一般の展望を禁止しているのですわ。地球上の奇観とちがって、宇宙の風景はあまりに悽
愴で、見つけない者が見ると、一目見ただけで発狂する虞れがあるのですわ。ですから、....
「病房にたわむ花」より 著者:岡本かの子
あわてた視線が途惑って、窓辺の桜に逸れました。私はぞっとしました。その桜の色の悽
愴なのに。 ずっと前の或夜、私は友の家の離れの茶室に泊りました。私は夜中にふと....
「露肆」より 著者:泉鏡花
、歯磨を売る。 二三軒隣では、人品骨柄、天晴、黒縮緬の羽織でも着せたいのが、悲
愴なる声を揚げて、殆ど歎願に及ぶ。 「どうぞ、お試し下さい、ねえ、是非一回御試験....
「島木赤彦氏」より 著者:芥川竜之介
は島木さんの末期を大往生だったと言っている。しかし当時も病気だった僕には少からず
愴然の感を与えた。この感銘の残っていたからであろう。僕は明けがたの夢の中に島木さ....
「鐘ヶ淵」より 著者:岡本綺堂
、なにさまこの深い淵の底には何かの秘密が潜んでいるらしく思われて、言い知れない悽
愴の気が諸人の胸に冷たく沁み渡った。 きょうは川御成であるから、どういうことで....
「こま犬」より 著者:岡本綺堂
あまり高くない。なんだか池の底でむせび泣くような悲しい声で、それを聞くと一種|悽
愴の感をおぼえるそうだ。小袋ヶ岡の一件というのは大体まずこういうわけで、それがこ....
「雑文的雑文」より 著者:伊丹万作
裂いて、もはや完膚なしと見るといつせいに引き揚げてさらに他の作に群つて行く状は凄
愴とも何とも形容を絶した偉観である。 したがつて読物のほうは十や二十駄作の連発....
「丹那山の怪」より 著者:江見水蔭
ます。どうかお露の敵をお取下さいまし。お願いでござりまする」 その声は悲痛|凄
愴を極めたのであった。案内の男は忽ち逃げ出した。昼間幽霊が出たと思ったのか。純之....