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慄然
「慄然〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
慄然の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「外科室」より 著者:泉鏡花
気高く、清く、貴《とうと》く、うるわしき病者の俤《おもかげ》を一目見るより、予は
慄然《りつぜん》として寒さを感じぬ。 医学士はと、ふと見れば、渠は露ほどの感情....
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
んちゃく》の間に取り遺《おと》せしを、忘れて捨て行きたるなり。 白糸はたちまち
慄然《りつぜん》として寒さを感《おぼ》えたりしが、やがて拾い取りて月に翳《かざ》....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
遣って、片手で頤を撫でていたが、車掌のその御注意に、それと心付くと、俄然として、
慄然として、膚寒うして、腰が軽い。 途端に引込めた、年紀の若い半纏着の手ッ首を....
「春昼」より 著者:泉鏡花
家が、」 「ええ?」 「あれがこの歌のかき人の住居でござってな。」 聞くものは
慄然とした。 出家は何んの気もつかずに、 「尤も彼処へは、去年の秋、細君だけが....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
げるような丈のびた山百合の白いのが、うつむいて咲いていました。いや、それにもまた
慄然としたほどでございますから。 何事がございましょうとも、自力を頼んで、どう....
「革鞄の怪」より 著者:泉鏡花
席に復した。が、あまたたび額の汗を拭った。汗は氷のごとく冷たかろう、と私は思わず
慄然とした。 室内は寂然した。彼の言は、明晰に、口|吃しつつも流暢沈着であった....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
え、……それ、来ました。」 と不意に振向く、階子段の暗い穴。 小村さんも私も
慄然した。 女房はなおの事…… 「あれ、吃驚した。」 と膝で摺寄る。 藤助....
「政談十二社」より 著者:泉鏡花
違ってあのけたい親仁。 蝮の首を焼火箸で突いたほどの祟はあるだろう、と腹じゃあ
慄然いたしまして、爺はどうしたと聞きましたら、 (いいえ、やっぱりむずむずしてど....
「化鳥」より 著者:泉鏡花
。 二ツも三ツも。私に何を談すのだろう、私に何を話すのだろう。鳥がものをいうと
慄然として身の毛が弥立った。 ほんとうにその晩ほど恐かったことはない。 蛙の....
「おばけずきのいわれ少々と処女作」より 著者:泉鏡花
の多いという実際を感じ得た。 僕が迷信の深淵に陥っていた時代は、今から想うても
慄然とするくらい、心身共にこれがために縛られてしまい、一日一刻として安らかなるこ....
「白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
助が帰るのに先廻りをして、私を便って来たらしい。またかと思う。……今いわれた時も
慄然としてこの通り毛穴が立ってら。私には何にも見えないんだよ。見えないが、一人で....
「葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
霧かかって、帯の端|衣服の裾をしたしたと落つる雫も、萌黄の露、紫の露かと見えて、
慄然とする朝寒。 真中に際立って、袖も襟も萎えたように懸っているのは、斧、琴、....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
らないのです。―― 勝手は心得ていましたから、雨戸を開けました。庭の松が、ただ
慄然とするほど、その人待石の松と枝振は同じらしい。が、どの枝にも首を縊る扱帯は燃....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
したね、段々気味が悪くなって来るせいですか、さあ、おいでなすったと思うと天窓から
慄然として、圧を置かれるような塩梅で動くこともなりません。 五日|経ってからお....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
を負いながら、土間に突伏して腹を冷した酔んだくれの俤さえ歴々と影が透いて、女房は
慄然とする。奴は絵に在る支那兵の、腰を抜いたと同一形で、肩のあたりで両手を開いて....