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「慈し〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

慈しの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
に離した。そして滋養を与えるために白身の軽い肴を煮ていると、復一は男ながら母性の慈しみに痩せた身体もいっぱいに膨れる気がするのであった。 しかし、その歳|孵化....
母子叙情」より 著者:岡本かの子
、しんみりした眺めである。 かの女は、だんだん老紳士に対する好感が増して行き、慈しむような眼ざしで青年の姿を眺めていると、老紳士は、暗黙の中にそれを感謝するら....
雛妓」より 著者:岡本かの子
れ返り、何故か一度、悄気返りさえしているうちに、もうわたくしの小さい同姓に対する慈しみはぐんぐん雛妓に浸み向って行った。わたくしは雛妓に言った。 「かの子さん。....
出家とその弟子」より 著者:倉田百三
地の間に厳存するところのすべて美しきものの精として、あの空に輝く星にも比べて尊み慈しんでいるのです。二人の間に産まれたこの宝を大切にしましょう。育てて行きましょ....
愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
間の心に宿る最も尊きものと認め、そしてこの素質をさながら美しき宝石のごとくにめで慈しむ。私は私がそのなかに棲んでいるこのエゴイスチッシュな、荒々しい、そして浅い....
わかれ」より 著者:国木田独歩
にこの驢馬にまたがれど常に苦笑いせり。青年には童がこの兎馬を愛ずるにも増して愛で慈しむたくましき犬あればにや。 庭を貫く流れは門の前を通ずる路を横ぎりて直ちに....
青鬼の褌を洗う女」より 著者:坂口安吾
のように察しているが、私はしかしある年齢の本能によって限りなく若さをなつかしむ。慈しむ。若さは幸福でなければならないと思う。若者は死んではならぬ。ただ若さという....
安吾武者修業」より 著者:坂口安吾
た木刀を見せてくれたのであるが、別に惜しそうな顔ではない。むしろノンキな若い者を慈しんでいる笑顔であった。 類型絶無の剣法 立川文庫によると、野良か....
血液型殺人事件」より 著者:甲賀三郎
ては、あなたの御両親に相すみません。あなたの御両親はあなたを真の子供だと思って、慈しみお育てになったのです。私の見た所では、あなたは御両親にも、又弟妹の方達にも....
光り合ういのち」より 著者:倉田百三
もそれだけの幸福感はない。私たちきょうだいは本当に仲がよかった。 これは父母の慈しみと柔和のたまものである。私の母は牛のような、本能的な母親だった。無学であっ....
岩田夫人の死を悼む」より 著者:岸田国士
んのうちに、亡きマリイ夫人と、同じく亡き数に入つた静子夫人の、軽重のない祈願と、慈しみとが、見事に花咲き、実を結んだといえるばかりで、生涯に二度、妻を先立たせ、....
青春の息の痕」より 著者:倉田百三
おのれ自らの求心的領域に帰りうるならば、私は確かに今よりも心の静かさと、潤いと、慈しみとを保ちうるであろう。私自らの資性にとってそれが容易であり、成績においても....
エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
額を償わんとするに急なるになんぞ劣らん、黄金と土地は、それ卑俗に属す。されど愛と慈しみは、愛と慈しみ自身をもってせざれば、これを量るをえざるなり」女王はこの美文....
五重塔」より 著者:幸田露伴
ろう、さあ遠慮を捨てて急かずに、老衲をば朋友同様におもうて話すがよい、とあくまで慈しき注意。十兵衛|脆くも梟と常々悪口受くる銅鈴眼にはや涙を浮めて、はい、はい、....
仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
すよ つわぶきの黄いろい花が眼に沁みる 厳父、慈母と言って、父親は厳格、母親は慈しみ深いのが特色のように極められています。またそれが男親と女親との愛の表現の違....