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「慈しみ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

慈しみの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
に離した。そして滋養を与えるために白身の軽い肴を煮ていると、復一は男ながら母性の慈しみに痩せた身体もいっぱいに膨れる気がするのであった。 しかし、その歳|孵化....
雛妓」より 著者:岡本かの子
れ返り、何故か一度、悄気返りさえしているうちに、もうわたくしの小さい同姓に対する慈しみはぐんぐん雛妓に浸み向って行った。わたくしは雛妓に言った。 「かの子さん。....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
対する彼女の愛情は平素のことがよくそれを語っていた。十八歳のその日まで、ただただ慈しみをもって繞ってくれる周囲の人々の心を落胆させてこころよしとするような、そん....
二重心臓」より 著者:夢野久作
巨万の富を作った。その中に三枝嬢が成長し、人も知る如き美人となったのを手中の珠と慈しみ、同嬢のために小規模ながら大森に現在の豪華な住宅を建ててやって同居し、毎日....
白くれない」より 著者:夢野久作
芸にこそよれ。容貌、醜しとあれば疎み遠ざかり、あざみ笑ひ、少しの手柄あれば俄かに慈しみ、へつらひ寄る、人情紙の如き世中に何の忠義、何の孝行かある。今に見よ。その....
怪談牡丹灯籠」より 著者:三遊亭円朝
なく御出生のお女子をお露様と申し上げ、頗る御器量美なれば、御両親は掌中の璧と愛で慈しみ、後にお子供が出来ませず、一粒種の事なれば猶さらに撫育される中、隙ゆく月日....
愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
術の苦痛を怺えつつ、長い月日を送らねばならなかった。私はその頃の私の生活を、めで慈しみつつ思い返さずにはいられない。心はかなしみと忍耐に濡れて、親しい静けさを守....
反逆」より 著者:矢田津世子
ン坊は、上の子は一体何処へ行っているんだろう?―― 聖ヨハネ教会の沢木教父は、慈しみ深い微笑で先ずお松親子を安心させた。人手がないから何時迄もいてくれるように....
今日の条件」より 著者:豊島与志雄
を、私は低俗なものとして軽蔑する。もとより、日の光りを楽しみ、自然を愛し、人間を慈しみ、生きてる悦びを歌う、そういう文学は、美しいものであろう。然しそういうこと....
血液型殺人事件」より 著者:甲賀三郎
ては、あなたの御両親に相すみません。あなたの御両親はあなたを真の子供だと思って、慈しみお育てになったのです。私の見た所では、あなたは御両親にも、又弟妹の方達にも....
光り合ういのち」より 著者:倉田百三
もそれだけの幸福感はない。私たちきょうだいは本当に仲がよかった。 これは父母の慈しみと柔和のたまものである。私の母は牛のような、本能的な母親だった。無学であっ....
岩田夫人の死を悼む」より 著者:岸田国士
んのうちに、亡きマリイ夫人と、同じく亡き数に入つた静子夫人の、軽重のない祈願と、慈しみとが、見事に花咲き、実を結んだといえるばかりで、生涯に二度、妻を先立たせ、....
青春の息の痕」より 著者:倉田百三
おのれ自らの求心的領域に帰りうるならば、私は確かに今よりも心の静かさと、潤いと、慈しみとを保ちうるであろう。私自らの資性にとってそれが容易であり、成績においても....
エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
額を償わんとするに急なるになんぞ劣らん、黄金と土地は、それ卑俗に属す。されど愛と慈しみは、愛と慈しみ自身をもってせざれば、これを量るをえざるなり」女王はこの美文....
仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
すよ つわぶきの黄いろい花が眼に沁みる 厳父、慈母と言って、父親は厳格、母親は慈しみ深いのが特色のように極められています。またそれが男親と女親との愛の表現の違....