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慎み
「慎み〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
慎みの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
心もちを察してくれて、よしや沙金のほうから手を出してもその誘惑に乗らないだけの、
慎みを持ってくれる事と、いちずに信じ切っていた。が、今になって考えれば、それは、....
「忠義」より 著者:芥川竜之介
れませぬ。昨夜《さくや》天文を見ますと、将星が落ちそうになって居ります。どうか御
慎み第一に、御他出なぞなさいませんよう。」と、こう云った。目付は、元来余り天文な....
「或る女」より 著者:有島武郎
も十六にも見れば見られるような華奢《きゃしゃ》な可憐《かれん》な姿をした葉子が、
慎みの中にも才走った面影《おもかげ》を見せて、二人《ふたり》の妹と共に給仕《きゅ....
「或る女」より 著者:有島武郎
に快活なはきはきした少女になった。ただ愛子だけは少しもうれしさを見せないで、ただ
慎み深く素直《すなお》だった。
「愛ねえさんうれしいわねえ」
貞世は勝ち誇るも....
「籠釣瓶」より 著者:岡本綺堂
けいな告げ口をしなんすから、こんなことにもなるのでおざんす。これからはちっと口を
慎みなんし」 わたし達がいないあいだは、花魁の枕もとへ行っておとなしく坐ってい....
「玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
」 振り切ろうとしても玉藻は放さなかった。 「なんの用かは知らぬが、お前たちは
慎みの身の上じゃ。勝手に夜歩きなどしても苦しゅうないか」 千枝太郎は行き詰まっ....
「三つの宝」より 著者:芥川竜之介
の王様にはかないはしません。とかく人間と云う者は、何でも身のほどを忘れないように
慎み深くするのが上分別です。 一同 そうなさい。そうなさい。悪い事は云いはしませ....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
るだろう。 暗示こそは人に与えられた子等の中、最も優れた娘の一人だ。然し彼女が
慎み深く、穏かで、かつ容易にその面紗を顔からかきのけない為めに、人は屡※この気高....
「電気看板の神経」より 著者:海野十三
。怪奇に充ちた生活がはじまった。彼等は、外から見れば、羨しいほど仲のよい、そして
慎みのある若い男と女とであった。しかし人目を離れて二人っきりの世界になると、慎恚....
「蠅男」より 著者:海野十三
ルの帳場子は、帆村がそんな目に会っているとは露知るまい。あたら帆村も、ここへ来て
慎みを忘れたがために、折角糸子が提供しようという蠅男の秘密を聞く機会を失ってしま....
「茶の本」より 著者:岡倉覚三
かんずく、道教がシナ国民性の形成に寄与したところ、「温なること玉のごとし」という
慎み、上品の力を与えた点に対して敬意を表すべきである。シナ歴史は、熱心な道教信者....
「貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
ちんと貝の口にしめ直し、横縁の障子を開いて、御社に。――一座|退って、女二人も、
慎み深く、手をつかえて、ぬかずいた。 栗鼠が仰向けにひっくりかえった。 あの....
「縷紅新草」より 著者:泉鏡花
あ、それから多日、四方、隣国、八方へ、大波を打ったろうが、 ――三年の間、かたい
慎み―― だッてね、お京さんが、その女の事については、当分、口へ出してうわささ....
「アド・バルーン」より 著者:織田作之助
えば、少しは……と思わぬこともなかったが、しかし、書かれると思えばかえって自分を
慎みたい、不正なことはできないと思った。そして、秋山さんも私と同じような気持で、....
「端午節」より 著者:井上紅梅
ただいつもこういう場合に彼は常に喜んで、中国将来の運命というような問題を持出し、
慎みを忘れて自分が立派な憂国の志士であるように振舞う。人々は常に「自ら知るの明」....