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慎み深い
「慎み深い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
慎み深いの前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
だけでも、退屈に倦《うん》じ果てた人々には、物好きな期待を与えた。ある時は葉子は
慎み深い深窓《しんそう》の婦人らしく上品に、ある時は素養の深い若いディレッタント....
「禰宜様宮田」より 著者:宮本百合子
情が滾々《こんこん》と湧き出して、一杯になっていた苦しみを静かに押し流しながら、
慎み深い魂全体に満ち溢れるのである。 「何事もはあ真当《まっとう》なこった……」....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
やさしい女に、自分を崇拝しかけている女に、失恋の話をする、――そのようなことが、
慎み深い人のすることでないくらいなことは、十分に知っていたのでしたのに、私はそれ....
「源氏物語」より 著者:紫式部
うした機会がとらえられなかったのであるが、風は巌も動かすという言葉に真理がある、
慎み深い貴女も風のために端へ出ておられて、自分に珍しい喜びを与えたのであると中将....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
る、クリストフの姿が見えた。クリストフも彼の姿を見て、顔を赤らめた。エルンストは
慎み深いふうをして、クリストフに近寄らずに通りすぎた。 クリストフはその出会に....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
アントアネットが普通の状態でないことを、彼は考うべきであったろう。思いやりのある
慎み深い平素の態度とは、まったく異なっていたのである。しかし彼はただそうだとかそ....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
ていて、少しも無駄な言葉を発しなかった。誇張したお世辞は少しも言わなかった。ただ
慎み深い一言だけで済ました。しかし人の役にたとうと願っていた。人から頼まれないう....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
いい加減な返辞ばかりしていた。ごく丁寧なやり方をもって万事都合よく運んでいった。
慎み深い叔母《おば》が思ったより早く辞し去るときには、心こめたやさしい言葉まで発....
「白痴」より 著者:坂口安吾
とどこが違っているというのだ。違っているといえば、気違いの方が常人よりも本質的に
慎み深いぐらいのもので、気違いは笑いたい時にゲタゲタ笑い、演説したい時に演説をや....
「母の上京」より 著者:坂口安吾
頃は美しかつたに相違なく、その面影は今もいくらか残つてゐる。根が善良で、小心で、
慎み深い人であり、亭主に死別しなければ誰にもまして貞淑な人であつたに相違なく、お....
「街はふるさと」より 著者:坂口安吾
しく思うかも知れないが、毎日見なれている者には気にかかることであった。 放二の
慎み深い気質では、自分の破れ靴下が気にかかるのは当然で、訪問先で坐り様がいかにも....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
。景彦は目を瞋らしてはいるが、言葉は急に口を衝いて出てこない。しわがれたような、
慎み深いささやきが聞える。それはただの一言である。 「たわけめ。」 鶴見はこれ....
「審判」より 著者:カフカフランツ
おそらくは日曜日であるため、廊下にはほんの少ししか人影がなかった。彼らはきわめて
慎み深いという印象を与えた。ほとんど規則正しい距離をおいて、廊下の両側に置かれた....