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慕
「慕〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
慕の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
のは、もとよりなんの不思議もない。おれは、ただ、次郎が、――子供の時から、おれを
慕ってくれたあの次郎が、おれの心もちを察してくれて、よしや沙金のほうから手を出し....
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
いまわしい何物をも蔵していない。いわばこの桶の中の空《そら》のように、静かながら
慕わしい、安らかな寂滅《じゃくめつ》の意識であった。一切の塵労《じんろう》を脱し....
「報恩記」より 著者:芥川竜之介
。阿媽港甚内! 阿媽港甚内! わたしはどのくらい夢の中《うち》にも、あの男の姿を
慕っていたでしょう。殺生関白《せっしょうかんぱく》の太刀《たち》を盗んだのも甚内....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
う仰有《おっしゃ》います。が、全く当時の若殿様は、それほど御平生に似もやらず、恋
慕三昧《れんぼざんまい》に耽って御出でになりました。
しかし、これは、あながち....
「じゅりあの・吉助」より 著者:芥川竜之介
ろうじ》の一人娘の兼《かね》と云う女に懸想《けそう》をした。兼は勿論この下男の恋
慕の心などは顧みなかった。のみならず人の悪い朋輩は、早くもそれに気がつくと、いよ....
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
》が熊本の城下を離れた夜《よ》、とうとう一封の書を家に遺して、彼等の後《あと》を
慕うべく、双親《ふたおや》にも告げず家出をした。
彼は国境《くにざかい》を離れ....
「日光小品」より 著者:芥川竜之介
の上の試錬であろう。世なれた人の態度はまさしくこれだ。私は世なれた人のやさしさを
慕う。
私はこんなことを考えながら古河橋のほとりへ来た。そうして皆といっしょに....
「大川の水」より 著者:芥川竜之介
きりょう》とを感じた。まったく、自分の住んでいる世界から遠ざかって、なつかしい思
慕と追憶との国にはいるような心もちがした。この心もちのために、この慰安と寂寥とを....
「るしへる」より 著者:芥川竜之介
ある男も少からぬものをと云う。しかもその声を聞く毎に、神魂たちまち恍惚として、恋
慕の情|自《おのずか》ら止《とど》め難し。さればとてまた、誰と契《ちぎ》らんと願....
「或る女」より 著者:有島武郎
さいぎ》の色をみなぎらして葉子に向かった。葉子は、名前だけをかねてから聞き知って
慕っていた人を、今目の前に見たように、うやうやしさと親しみとの交じり合った表情で....
「或る女」より 著者:有島武郎
してくれたかをも思ってみた。葉子の経験からいうと、両親共いなくなってしまった今、
慕わしさなつかしさを余計感じさせるものは、格別これといって情愛の徴《しるし》を見....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
我執の強い方でございますが、それでもだんだん感化されて、肉身のお祖父様のようにお
慕い申上げ、勿体ないとは知りつつも、私はいつしかこの神様を『お爺さま』とお呼び申....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
と、埋葬夫とを兼ぬる有様であった。その勇気と忠実と親切とは、当然教区民の絶大の敬
慕を贏ち得たが、健康が許さないので、一八六八年他の教区に転任した。彼は何所へ行っ....
「初雪」より 著者:秋田滋
年の今頃ともなれば、自分の前をいま歩いてゆく同じ人たちが、南国のあたたかい空気を
慕って、今よりは少しばかり大きくなった子供を連れて、希望にもえ、愛情に酔い、幸福....
「母を尋ねて三千里」より 著者:アミーチスエドモンド・デ
親がいない家はまるでからっぽのようにさびしいものでした。ことに小さい方の子は母を
慕って毎日泣いていました。 月日は早くもたって一年はすぎました。母親の方からは....