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慨然
「慨然〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
慨然の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「新生」より 著者:島崎藤村
も復《ま》た何時《いつ》聞けるかと岸本には思われた。その日は彼は皆に酒を出した。
慨然として岸本は旅に上る仕度した。眠りがたい僅かの時間をすこしとろとろしたかと思....
「空襲葬送曲」より 著者:海野十三
ってこようというのに、これを遮る雨具一つ、備わっていないのだ……」湯河原中佐は、
慨然として、腕を拱いた。 「そう云えば、防空演習にしても、遺憾な点が多かったです....
「運命」より 著者:幸田露伴
敬服するところとなれるもの、身の長八尺、年三十五、雄毅開豁、孝友|敦厚の人たり。
慨然として席を立ち、剣を按じて右に趨きて曰く、諸君|乞うらくは勉めよ、昔|漢高は....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
ろみに、この新作の軍歌が薩摩隼人の群れによって歌われることを想像して見るがいい。
慨然として敵に向かうかのような馬のいななきにまじって、この人たちの揚げる蛮音が山....
「虎媛」より 著者:田中貢太郎
に酒を飲みながらいろいろの話をはじめた。虎の話が出ると酒に眼元を染めていた焦生が
慨然として言った。 「あんな猛獣でも、ああなっては仕方がないな、英雄豪傑も運命は....
「小説 不如帰 」より 著者:徳冨蘆花
」 「それじゃてて、妻が病気すッから親に不孝をすッ法はなかもんじゃ」 千々岩は
慨然として嘆息し「いや実に困った事ですな。せっかく武男君もいい細君ができて、叔母....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
立てて、意地の悪い張学正をおどしてやろうと思い立って、その相談を持ち込むと、彼は
慨然として引き受けた。 「よろしい。承知しました。しかし無暗に鬼の真似をして見せ....
「化銀杏」より 著者:泉鏡花
んだ。」 「そうして、不可いお方だったの。」 少年はそぞろに往時を追懐すらむ、
慨然としたりけるが、 「不可いどころの騒じゃない、姉様を殺した奴だもの。」 お....
「成仙」より 著者:田中貢太郎
が、一人では勝てないと思いだしたので、そっと脱けだして成の所へ行って告げた。成は
慨然としてついて来た。そして寝室の前にいくと周は石を取って入口の扉を打った。内で....
「名人地獄」より 著者:国枝史郎
びますかよ」米八は額で睨むようにした。 「あれは一生の失敗だった」むしろ次郎吉は
慨然と、「厭がるお前を無理にすすめ、一幕うったほどでもねえ、たいした儲けもなかっ....
「月世界競争探検」より 著者:押川春浪
あ折角ここまで苦心しながら、残念な事をしたなあ。」 と投げるがごとくいい棄てて、
慨然として天を仰いで長大息したが、再び決然として立ち上り、 「東助、こうなっては....
「沙漠の古都」より 著者:国枝史郎
際その時まではただ可哀そうな名門の児――意気地のない貴公子に過ぎなかったがこの時
慨然と震い立った。私は剣をとったのだ。革命党に参じたのだ。孫逸仙の旗下に従いたの....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
れていたのが再燃したには自ずから淵源がある。日清戦争の三国干渉の時だった。或る晩
慨然として私に語った。「日本はこれから先き世界を対手として戦う覚悟がなけりゃアな....
「四十年前」より 著者:内田魯庵
から閣員の一人隈山子爵が海外から帰朝してこの猿芝居的欧化政策に同感すると思いの外
慨然として靖献遺言的の建白をし、維新以来二十年間沈黙した海舟伯までが恭謹なる候文....
「申訳」より 著者:永井荷風
ヲ知ラザルコト匹婦ヨリモ甚シ。今宵適カツフヱーノ女給仕人ノ中絃妓ノ後身アルヲ聞キ
慨然トシテ悟ル所アリ。乃鉛筆ヲ嘗メテ備忘ノ記ヲ作リ以テ自ラ平生ノ非ヲ戒ムト云。」....