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慰み物
「慰み物〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
慰み物の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「奈々子」より 著者:伊藤左千夫
か自分を慰めるのである。今の自分には、哲学や宗教やはことごとく余裕のある人どもの
慰み物としか思えない。自分もいままではどうかすると、哲学とか宗教とかいって、自分....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
たばたすることも出来ない。ふところの二十両は早速にまきあげられて、その上に友蔵の
慰み物です。逃げ出されては面倒だと思って、友蔵はお大を細引で縛って、用のない時は....
「貧しき人々の群」より 著者:宮本百合子
へ飛び出してしまう。 まして低能や白痴などはまるで顧みられない。村中の悪太郎の
慰み物になっているより外ないのである。 それゆえ善馬鹿とその子等も、村の者が笑....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
〇九頁等に、梵士が神の妻にするとて美婦を望むに、親や夫が悦んでこれを奉り、梵士の
慰み物としてその寺に納《い》れる由を記す。 男女が逢瀬の短きを恨んで鶏を殺す和....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
さ》み物《もの》になってるんだ」 「おや、友さん、何をお言いだ」 「お前は、人の
慰み物になっているのを、それを出世と心得てるんだ」 「エ、エ、何、何、友さん、そ....
「風呂供養の話」より 著者:田中貢太郎
持っていることであった。勘右衛門はそうした不審を抱くとともに、そんな男に、千代を
慰み物にせられては大変だと云う懸念で、頭の中が一ぱいになった。 その勘右衛門が....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
に展開する面白い光景に魅せられて、突然大笑いをすることもあった。そして彼は一同の
慰み物になっていた。そしてその滑稽のゆえに、多くのことを大目に見過ごしてもらって....
「娘煙術師」より 著者:国枝史郎
匠だけに、そういう身分の高下などには、昔からずっと無頓着であられた。ほんの一時の
慰み物として、妾をそそのかしているのだと、このように思っていられるからであろうか....
「廿九日の牡丹餅」より 著者:岡本綺堂
と瞞されて、掃溜のような穢い長屋の奥へ引っ張り込まれて、三日のあいだ、腹さんざん
慰み物にされて、身ぐるみ剥がれて古浴衣一枚にされて……。揚句の果てに宿場女郎にで....
「落語・教祖列伝」より 著者:坂口安吾
庄屋のオトトへ泣き言をならべにでかけても、庄屋のオトトは良いところへヒマツブシの
慰み物がきてくれたと薄笑いをうかべて、 「ンナトコのアネサ、病気らか」 「バカこ....
「上海」より 著者:横光利一
二人から逃げねばならぬのかと考えた。悪いのは向う二人ではないか。自分は今こそ街の
慰み物になっている女だとはいえ、こんなにしたのは、そんなら誰だ。誰だ。―― お....
「つゆのあとさき」より 著者:永井荷風
あるし、スターで有名な玲子さんがあるし、わたし見たような女給なんぞは全く一時的の
慰み物だわ。」 橋を渡ると、人通りは尾張町《おわりちょう》へ近くなるに従って次....
「はつ恋」より 著者:神西清
彼女は、手袋の先で、わたしの鼻をたたいた。 全くジナイーダは、さんざんわたしを
慰み物にした。三週間の間、わたしは毎日彼女に会っていたが、その間に彼女がわたしに....