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「慰撫〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

慰撫の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
に違いない家の中のいさくさなどに繊細すぎる神経をなやまして、それにつけても葉子の慰撫《いぶ》をことさらにあこがれていたらしい様子は、そんな事については一言《ひと....
岩石の間」より 著者:島崎藤村
子《まりこ》と一緒に成った。 「鞠《まあ》ちゃん、吾家《おうち》へ行こう」 と慰撫《なだ》めるように言いながら、高瀬は子供を連れて入口の庭へ入った。そこには畠....
振動魔」より 著者:海野十三
えるような野心をもって上役の後釜を覘み、妙齢の婦女子の懺悔を聴き病気見舞と称する慰撫をこころみて、心中ひそかに怪しげなる情念に酔いしれるのを喜んだ。柿丘秋郎の正....
鳥羽伏見の戦」より 著者:菊池寛
ま滞京していてはいかなる事変が突発するかも知れないと思ったらしく、激昂する麾下を慰撫しながら、閣老参政及び会桑二藩士を率いて、大阪へ下ったのである。 此の下阪....
」より 著者:島崎藤村
妙な娘だぞい。お嫁さんの話を聞いて哀しく成るような者が何処にあらず」とお種は娘を慰撫めるように。 「お仙ちゃん、どうしました」こう三吉が縁側のところから聞いた。....
社会時評」より 著者:戸坂潤
」を示して、第十回極東大会参加に決し、その旨フィリッピンに通告し、満州国体協には慰撫の文書を手交して、声明書を発することにした。そこで憤激したのは満州側であって....
作男・ゴーの名誉」より 著者:チェスタートンギルバート・キース
に過した。しかし今は太陽の輝き、小鳥はうたい、そうして歯医者の輝かしい姿が世界を慰撫していられるを見られい」 「アー、私にもその意味がわかるでしょうか、もし地獄....
伯林の落葉」より 著者:岡本かの子
熱塊のような苦痛に満ちた頭部へ衝き上った。程よい衝動は彼の苦痛に響いていくらかの慰撫となった彼は落葉の層をなるだけ除けて、堅い舗道面の露出して居る部分を殆ど、無....
貞操問答」より 著者:菊池寛
思っていたくらいです。」 「まあ!」新子の気持は、だんだん準之助氏の言葉によって慰撫され、甘やかされていた。 「今日はまるで、思いがけなかったのです。もう、あき....
十二神貝十郎手柄話」より 著者:国枝史郎
林様は話をされた。訓諭と懇願とを雑えたような話を。しかるに今夜は浪人連を招いて、慰撫と激励の話をされた。仲介役が丸田屋の主人だ。……警戒しないでいられるものか)....
競漕」より 著者:久米正雄
今の三分力漕を十分仕上げておけばあとの二分はその割に苦しくないもんだよ」と窪田は慰撫的に言った。皆の心には軽い奮励の心が湧いた。 農科の艇はその後も幾度か勝ち....
安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
らの国々に対し、またその時々の事情に対応して朝廷方からワケの分らぬ方法で利用だか慰撫だかオベッカだか判断しにくい待遇をうけているので見当がついてくるのであります....
山茶花」より 著者:佐左木俊郎
なお、働き続けねばならない自分の親を、彼は心の底から気の毒に思って、出来るだけの慰撫を心掛けているのであったが、なぜか長作は、それを露骨に現すことは出来なかった....
二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
立って調停する楫取役を勤めたのは池辺三山であって、三山は力を尽して二葉亭を百方|慰撫するに努めた。が、二葉亭が自ら本領を任ずる国際または経済的方面の研究調査には....
エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
もらうことが、誰にとっても最重要のこととなった。ハンスドン卿が、お世辞たらたらな慰撫状を伯爵に送ったが、だめだった。そこでバアリイが書いた――多少のユウモアも含....