»
慵
「慵〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
慵の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「あらくれ」より 著者:徳田秋声
《ゆうもや》に裹《つつ》まれて、一日|苦使《こきつか》われて疲れた体《からだ》を
慵《ものう》げに、往来を通ってゆく駄馬の姿などが、物悲しげみえた。お島は大きな重....
「虚構の春」より 著者:太宰治
ものは、こういう風にしか語れないものでしょうからね。病床の作者の自愛を祈るあまり
慵斎《ようさい》主人、特に一書を呈す。何とぞおとりつぎ下さい。十日深夜、否、十一....
「行人」より 著者:夏目漱石
ない※《まぶち》が急に爽《さわや》かな光に照らされて、それに抵抗するのがいかにも
慵《ものう》いと云ったような一種の倦怠《けた》るさが見えた。頬の蒼白《あおじろ》....
「草枕」より 著者:夏目漱石
消えたと、余は心のうちで繰り返す。すかして見ると、三茎《みくき》ほどの長い髪が、
慵《ものうげ》に揺れかかっている。見つかってはと云わぬばかりに、濁った水が底の方....
「門」より 著者:夏目漱石
ほうまん》と、それに伴なう倦怠《けんたい》とを兼ね具えていた。そうしてその倦怠の
慵《ものう》い気分に支配されながら、自己を幸福と評価する事だけは忘れなかった。倦....
「吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
御回向《ごえこう》を受けているだろう。
近頃は外出する勇気もない。何だか世間が
慵《もの》うく感ぜらるる。主人に劣らぬほどの無性猫《ぶしょうねこ》となった。主人....
「仮装人物」より 著者:徳田秋声
前から慢性の神経衰弱に憑かれていて、外へ出ても、街の雑音が地獄の底から来るように
慵く聞こえ、たまたま銀座などへ出てみても目がくらくらするくらいであったが、葉子と....
「足迹」より 著者:徳田秋声
、にじみ出る汗を袂で拭きながら、いつまでもぼんやりしていることがたびたびあった。
慵い体を木蔭のベンチに腰かけて、袂から甘納豆を撮んではそっと食べていると、池の向....
「黴」より 著者:徳田秋声
こを出て、根岸の方に世帯を持っていた。笹村はがらんとしたその楼の段梯子を踏むのが
慵げであった。他の女が占めているその部屋へ入って、長火鉢の傍へ坐ってみても、なつ....
「連城」より 著者:田中貢太郎
によって婿を択ぼうとしていた。喬もそれに応じて詩をつくって出した。 その詩は、
慵鬟高髻緑婆娑 早く蘭窓に向って碧荷を繍す 刺して鴛鴦に到って魂断たんと欲す 暗....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
らざりしをもて、筆を執りて文を草することも出来しなり、されどこのごろは筆を執るも
慵くてただおもひくづをれてのみくらす、誠にはかなきことにこそあれ。」 「反訳叢書....
「向嶋」より 著者:永井荷風
がある。 花時※上佳 〔花時《かじ》 ※上《ぼくじょう》佳《よ》し 雖佳
慵命駕 佳《よ》しと雖《いえど》も駕《が》を命《めい》ずるに
慵《ものう》し 都....
「濹東綺譚」より 著者:永井荷風
る。 女子がアッパッパと称する下着一枚で戸外に出歩く奇風については、友人佐藤|
慵斎《ようさい》君の文集に載っている其《その》論に譲って、ここには言うまい。 ....
「それから」より 著者:夏目漱石
なくなったと考えた。彼の苦痛は何時ものアンニュイではなかった。何も為《す》るのが
慵《ものう》いと云うのとは違って、何か為《し》なくてはいられない頭の状態であった....