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慾
「慾〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
慾の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「文章」より 著者:芥川竜之介
を払っていたであろう。しかしそれをそう云わなければ、この楽天家の中尉の頭に変態性
慾《へんたいせいよく》の莫迦莫迦《ばかばか》しい所以《ゆえん》を刻《きざ》みつけ....
「大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
少を問わずに友だちを作ることは出来なかった。たとい君子ではないにもせよ、智的|貪
慾《どんよく》を知らない青年はやはり彼には路傍の人だった。彼は彼の友だちに優しい....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
ばチブスの患者などのビスケットを一つ食った為に知れ切った往生を遂げたりするのは食
慾も死よりは強い証拠である。食
慾の外にも数え挙げれば、愛国心とか、宗教的感激とか....
「夢」より 著者:芥川竜之介
ある霜柱の残っている午後、わたしは為替《かわせ》をとりに行った帰りにふと制作
慾を感じ出した。それは金のはいったためにモデルを使うことの出来るのも原因になって....
「星座」より 著者:有島武郎
なって、そこに映るものが不断とは変ってきた。こんな場合、当然起ってくべきはずの性
慾はますます退縮して、ただわくわくするような興奮で身の内が火のように震えだした。....
「親子」より 著者:有島武郎
ど経てから内儀さんが恐る恐るやって来て、夕食のしたくができたからと言って来た。食
慾は不思議になくなっていたけれども、彼はしょうことなしに父の座敷へと帰って行った....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
したり、助成したりしてはならぬという事だ。例えば個性の要求の結果が一見肉に属する
慾の遂行のように思われる時があっても、それをお前が今まで考えていたように、簡単に....
「『聖書』の権威」より 著者:有島武郎
問とに、圧倒される荷を負わされる青年と云う時期があります。私の心の中では聖書と性
慾とが激しい争闘をしました。芸術的の衝動は性欲に加担し、道義的の衝動は聖書に加担....
「かんかん虫」より 著者:有島武郎
するのが関の山だ。何うなるものか。女って獣は栄燿栄華で暮そうと云う外には、何一つ
慾の無え獣だ。成程一とわたりは男選みもしようし、気前惚れもしようさ。だがそれも金....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
癖は深く魂の中に喰い入りて、しばしば個性の主要部となるに至るもので、一たん肉感肉
慾の誘惑にかかった魂は、終にその奴隷とならずんば止まぬ。彼は到底清純無垢の境地に....
「歯車」より 著者:芥川竜之介
も興味を感じているらしかった。僕は機械的にしゃべっているうちにだんだん病的な破壊
慾を感じ、堯舜を架空の人物にしたのは勿論、「春秋」の著者もずっと後の漢代の人だっ....
「格さんと食慾」より 著者:芥川竜之介
んである。 次手に顔のことを少し書けば、わたしは宇野の顔を見る度に必ず多少の食
慾を感じた。あの顔は頬から耳のあたりをコオルド・ビフのように料理するが好い。皿に....
「墓」より 著者:秋田滋
その女を愛しておりました。一口に愛していたと申しましても、わたくしは、肉体的な愛
慾とか、あるいはまた尋常一と通りの精神的な愛情、そのような通り一遍の気持で愛して....
「狂人日記」より 著者:秋田滋
また、足をむずむず歩く。足は、行きたい、そういう場面が見られる処へ行きたいという
慾望でぶるぶる顫える。手を這う。手は殺したい
慾求でわなわな震える。それは、自由な....
「三人の百姓」より 著者:秋田雨雀
「子供も不憫には不憫だども、勿体ねい着物っこを着てるでねいか?」 と平生から少し
慾の深い伊作は、赤児を包んでいる美しい布を解いて見ました。すると、赤児の腹のとこ....