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憂き身
「憂き身〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
憂き身の前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「寄席と芝居と」より 著者:岡本綺堂
は社会的に相当の地位を占めている実業家や政治家や学者のうちにも、かつてドウスルに
憂き身をやつした経歴の所有者を少なからず見いだすであろう。 娘義太夫全盛の証拠....
「探巣遅日」より 著者:佐藤垢石
。私は毎年寒があけて一日ごとに日が長くなってくると、少年のころ小鳥の巣を捜すのに
憂き身をやつしたのを思いだしてひとりでほほえむのである。小鳥のうちで巣をつくりは....
「妾宅」より 著者:永井荷風
ら議論のお相手もしよう。けれども要するに、それはみんな身過ぎ世過ぎである。川竹の
憂き身をかこつ哥沢《うたざわ》の糸より細き筆の命毛《いのちげ》を渡世《とせい》に....
「現代茶人批判」より 著者:北大路魯山人
くやっているであろうことが考えられるのは、茶道具の売り買いを念頭におき、四六時中
憂き身をやつしている者たちである。道具の売り買いする者はあえて道具屋とは一概にか....
「中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
の中にいて、水の漏れるような隙を鵜の目でさがしつつ、儕輩を押し仆して官位の競望に
憂き身をやつした中流公家の心労からは、生れ出ることのない大慈悲心である。その証拠....
「鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
ませんが、わっしは大阪東奉行所の手先です。といっても内々は、少し道楽半分な目的に
憂き身をやつしておるので……」出された茶を啜って、素姓を明かした目明し万吉。後は....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
出しては、藤、山吹、卯の花、撫子、とりどりに取り散らし、色襲ねの品評めに、今から
憂き身を窶し合うなど、およそ持明院派の公卿で笑いの洩れぬ門はなかった。 もし、....
「美しい日本の歴史」より 著者:吉川英治
あの朝の事がなかったら、豊後は日々片手で幕政をいじり片手では鶉の糞掃除にいよいよ
憂き身をやつしていたろう。ひいては又、この健康な五体も、今頃は羽虫病にとりつかれ....
「茂吉の一面」より 著者:宇野浩二
、再び石見に行って、浜原、その他の町々を遍歴し、ほとんど丸一年の間、人麿の研究に
憂き身をやつして、『鴨山考補註篇』を書くことに没頭し、その年は、箱根の強羅の山荘....