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憂欝
「憂欝〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
憂欝の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「ある自殺者の手記」より 著者:秋田滋
慣というものに対して嘔吐を催させると同時に、こうして生きてゆくことに対して劇しい
憂欝を感じさせたのである。 何もかもが、なんの変哲もなく、ただ悲しく繰返される....
「江口渙氏の事」より 著者:芥川竜之介
の誤解はいずれも江口の為に、払い去られなければならない。江口は快男児だとすれば、
憂欝な快男児だ。粗笨漢だとすれば、余りに教養のある粗笨漢だ。僕は「新潮」の「人の....
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
いう声とともに、柔らかい小さな手が、彼の頸へ抱きつかなかったら、彼はおそらくこの
憂欝《ゆううつ》な気分の中に、いつまでも鎖《とざ》されていたことであろう。が、孫....
「佐藤春夫氏の事」より 著者:芥川竜之介
は最も世に云う世紀末の詩情に近きが如し。繊婉にしてよく幽渺たる趣を兼ぬ。「田園の
憂欝」の如き、「お絹とその兄弟」の如き、皆然らざるはあらず。これを称して当代の珍....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
度、夫に情欲を感ずるほど貞節に出来ているものらしい。
年少時代。――年少時代の
憂欝《ゆううつ》は全宇宙に対する驕慢《きょうまん》である。
艱難|汝《なんじ》....
「大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
んも》の浮かんだ大溝はいつも悪臭を放っていた。彼は勿論《もちろん》こう言う町々に
憂欝《ゆううつ》を感ぜずにはいられなかった。しかし又、本所以外の町々は更に彼には....
「本所両国」より 著者:芥川竜之介
泥のはねかかったタクシーの窓越しに往来を見ながら、金銭を武器にする修羅界の空気を
憂欝に感じるばかりだった。 僕等は「橋本」の前で円タクを下り、水のどす黒い掘割....
「政治に関する随想」より 著者:伊丹万作
々は制度としての民主政体を得たことを喜んでいる余裕がないほど、深い、より本質的な
憂欝に陥らずにはいられない。 では、何がこのような現状を持ちきたしたのであろう....
「間諜座事件」より 著者:海野十三
え、観客席のQX30は、面こそ作り笑いに紛らせているが、胸の裡は鉛を呑んだように
憂欝に閉ざされていた。そのわけは彼の手に握られたプログラムにあった。 この複雑....
「キド効果」より 著者:海野十三
ません。ですが警視庁のお見込はどうなったんですか」 「そいつを聞かれると、大いに
憂欝になるのですがねエ」と大江山課長は禿かかった前額をツルリと撫であげた。「いつ....
「深夜の市長」より 著者:海野十三
すようにと命令した。しかしそうなると、僕はこれから先の長い退屈な行程を考えて急に
憂欝を感じた。そこで前から輪太郎に聞きたいと思っていたことのあるのを思い出して、....
「地球発狂事件」より 著者:海野十三
くつかの方程式の大部分が欠除しているのであったから……。 発信者は誰 誰も彼も
憂欝に閉ざされていた。 真綿が首を締めるように、日一日と深刻さが加わって来る。....
「新しき世界の為めの新しき芸術」より 著者:大杉栄
前以上にある。それ以上に増やす要はない。少数の或る人々が、「鼬鼠が卵を吸うように
憂欝を吸う」事が好きだからと云って、此の貴族共の知識的禁欲主義を民衆に強いる事は....
「自叙伝」より 著者:大杉栄
とよりなかった。もう自由を欲するなどというはっきりした気持ではなく、ただ何となく
憂欝に襲われて仕方がなかったのだ。そしてぼんやりとそんなものを手に入れて、それを....
「巴里の唄うたい」より 著者:岡本かの子
鼻唇線は彼女の顔の中央に髑髏の凄惨な感じを与える。だが、眼はこれ等すべてを裏切る
憂欝な大きな眼だ。よく見るとごく軽微に眇になっている。その瞳が動くとき娘の情痴の....