憂色[語句情報] »
憂色
「憂色〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
憂色の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「秋山図」より 著者:芥川竜之介
、一段と光彩を添えることでしょう」
しかし王氏はこの言葉を聞いても、やはり顔の
憂色《ゆうしょく》が、ますます深くなるばかりです。
その時もし廉州《れんしゅう....
「狂言の神」より 著者:太宰治
呑んでも呑んでも酔えなかった。信じ給え。鏡の中のわが顔に、この世ならず深く柔和の
憂色がただよい、それゆえに高雅、車夫馬丁を常客とする悪臭ふんぷんの安食堂で、ひと....
「空襲葬送曲」より 著者:海野十三
をはじめ、兵員一同が、血走った眼を、ギラギラさせて、刻々に報告されてくる戦況に、
憂色を増していった。 「立川飛行聯隊では、大分|脾肉の嘆に、たえかねているようで....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
たが、しかし、その音色は繰り返す一節ごとに衰えてゆき、それとともに、法水の顔にも
憂色が加わっていった。そして、三回目の繰り返しの時、幽暗には――の一節はほとんど....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
察署の建築の中はあわただしいものではある。 この朝は神楽坂署の内部は、何となく
憂色に閉ざされていた。 司法主任の大島警部補が急に病が革まったのである。 彼....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
、人の面色《かおいろ》にまだ険悪の色が消え失せないのは。 険悪ではない、不安の
憂色です。憂えの色が、火の光と、働きの疲労に彩《いろど》られて、それで険悪に見ゆ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
まいます。 高村卿は、世間話が、ちょっと時事に触れて来た時、一種の慷慨に満ちた
憂色をもって、 「左様――何がどこへ落着くかわからない時代じゃ、宇津木、そなたは....
「染吉の朱盆」より 著者:国枝史郎
「それがさ、半さん、どうしたんだろう、いまだに帰って来ないんだよ」 お吉の顔に
憂色がある。 「へえ」といったが半九郎も、眉の間へ皺を寄せた。 「おかしいなあ、....
「銅銭会事変」より 著者:国枝史郎
、喜怒容易に色に出さぬ、代表的の役人であった。今度に限ってその甲斐守が、まざまざ
憂色を面に現わし、前古未曽有の大事件で、絶対秘密というからには、よほどの事件に相....
「前記天満焼」より 著者:国枝史郎
居間に寛いだ大塩中斎は、小間使の持って来た茶を喫し、何か黙然と考えている。怒気と
憂色とが顔にあり、思い詰めたような格好である。 すると、その時襖の陰から、 「....
「仇討姉妹笠」より 著者:国枝史郎
つき、ひそかに手筈を定めましたか……」 「うむ」と云うと中納言家には、眉の辺りに
憂色を浮かべ、眼を半眼にして考え込まれた。 腰元の死 「頼母」 ややあっ....
「南国太平記」より 著者:直木三十五
だしのまま入って来て、後向きの人々の肩の、頭の間から、ちらっと見える、座の人々の
憂色を見ると、脣を噛んで、庭先へ、坐ってしまった。
自分の息づかいも、汗も、小....
「奉行と人相学」より 著者:菊池寛
つに、あまりにもピッタリしているのである。 「顔色ハ白黒ヲ問ハズ眼中涼シクシテ、
憂色ヲフクミ左頬ニヱクボアリ、アゴヤヤ長シ」 隠徳の相として挙げられているのは....
「好色破邪顕正」より 著者:小酒井不木
女の顔をのぞきこむようにした。と、如何した訳か、彼女の顔には喜色の代りに、一抹の
憂色が漂いはじめた。康雄は早くもそれに気附いて、 「どうなさったのです。何か私の....
「眼」より 著者:徳永直
だ※ 利平は驚いた。暗い処に数十日をぶち込まれた筈の彼等の、顔色の何処にそんな
憂色があるか! 欣然と、恰も、凱旋した兵卒のようではないか! ……迎えるものも、....