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憎さも憎し
「憎さも憎し〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
憎さも憎しの前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
テとなでたとみるまに、スルスルと、ハヤ盗まれたり、若き女の腰ばかりをねらうとは、
憎さも憎し。くやしくて銭湯へ行くのも忘れたり」 「一ツ、三月十六日。 春が来て....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
。 自分が人殺しをして置いて、その口留め金をゆするなどは、あまりに法外である。
憎さも憎しと思いながら、前に云うような事情もあるので、用人も迂濶《うかつ》にそれ....
「名人長二」より 著者:三遊亭円朝
牌を入れる仏壇ゆえ、遠慮して吾が打つまいと思って、斯様な高言を吐いたに違いない、
憎さも憎し、見事叩っ毀して面の皮を引剥いてくりょう。と額に太い青筋を出して、お島....
「新版 放浪記」より 著者:林芙美子
かり持ち出して火の上にあぶってみる。焼けてしまえばこの詩は灰になるのだと思うと、
憎さも憎しだけれども、何となく気おくれして、いけない事だと思い、またもとのところ....
「雪之丞変化」より 著者:三上於菟吉
うはないかい? これ広海屋、ほしゅうはないかい?」
と、嘲り叫ぶ。
「おのれ、
憎さも憎し――それ、みんな、こやつをからめ取って、さんざんに打った上、お役人に突....
「現代忍術伝」より 著者:坂口安吾
もえ、計略の工夫に熱中したが、それが彼女を爽快な亢奮にかりたててくれるのである。
憎さも憎し、チンピラ悪漢。ツル子は才蔵をにらみつけて、 「人を悪事に誘うのは、よ....
「前記天満焼」より 著者:国枝史郎
、大勢の人を傷付けるだろう。と云ってああもハッキリと、殺意を現わして来る以上は、
憎さも憎しだ、構うものか、一人二人叩っ切って逃げてやろう」 こう決心をした鉄之....
「死剣と生縄」より 著者:江見水蔭
達する救世の船。それを取上げて了ったので有った。一体何寺の何んという坊主だろう。
憎さも憎しと竜次郎は、歯軋りをして口惜しがった。併し新利根川の堀割を隔てているの....
「活人形」より 著者:泉鏡花
れば、ぱっと遁出す人影あり。廊下の暗闇に姿を隠してまた――得三をぞ呼んだりける。
憎さも憎しと得三が、地蹈※ふんで縦横に刃を打掉る滅多打。声はようよう遥になり、北....
「五重塔」より 著者:幸田露伴
身をもって無遠慮過ぎた十兵衛めが処置振り、あくまで親切真実の親方の顔踏みつけたる
憎さも憎しどうしてくりょう。 ムム親方と十兵衛とは相撲にならぬ身分の差い、のっ....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
下七条へまで充満していた六波羅の陶山備中、斎藤玄基、河野対馬守などの諸将は、 「
憎さも憎し、高氏の首を見ずにはおくまいぞ。這奴一人さえ討ち取れば、赤松勢も怖れる....