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「憎体〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

憎体の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
鬼涙村」より 著者:牧野信一
んなことかも知れないよ。」と私は上《うわ》の空で答えた。それより私は、好くもこう憎体《にくてい》な連中だけが寄集って自惚事を喋《しゃべ》り合っているものだ、こん....
露肆」より 著者:泉鏡花
を見て行きたまえ。」 と青い帽子をずぼらに被って、目をぎろぎろと光らせながら、憎体な口振で、歯磨を売る。 二三軒隣では、人品骨柄、天晴、黒縮緬の羽織でも着せ....
栄蔵の死」より 著者:宮本百合子
で栄蔵はお君の様態、お金の仕打、ましては昨夜急に自分が立つ動機となったあのお金の憎体な云い振り、かてて加えて達の不仕末まで聞かされて、いやな事で体中が一杯になっ....
お久美さんと其の周囲」より 著者:宮本百合子
と無言の中で云い合った二人は厭な顔をしてそっ方を向いて仕舞った。 お関は尚憎体な笑をたたえて、 「ねえ※子さん、東京じゃあ今、 と執念く云うので、かく....
魔都」より 著者:久生十蘭
煙草をすすめながら、気軽な調子で、 「どうだ。だいぶひどくやられたか」 笑子は憎体《にくてい》に、ふン、と鼻を鳴らし、 「いいえ、そうでもなかッてよ。みなさん....
顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
もひきよせようッてんですかい」 「どうして、まだまだ」 顎十郎のいい方はすこし憎体《にくてい》である。 ひょろ松はムキになるたちだから、ムッとして、 「じゃ....
顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
面相のせいか、どことなくおかし味があって、こんな毒のあることを言っても、いっこう憎体《にくてい》にならないのが不思議。うつむいて、石仏のように黙念としているのを....
あなたも私も」より 著者:久生十蘭
地はいいが、一世紀前の型の服を着ている。網代《あじろ》に皺のはいった因業な顔も、憎体なものの言いかたも、ひどく日本人離れがしているので、『クリスマス・カロル』に....
死剣と生縄」より 著者:江見水蔭
んで了えっ……それとも俺に助けて呉れというか。頼めば船を出してやるが……」と其|憎体さと云ったら無いので有った。 「何んだ狗鼠坊主、死ねばとて貴様なんかに、助け....
活人形」より 著者:泉鏡花
すらっとして中肉中脊、戦慄とするほど美い女さ。と空嘯いて毛脛の蚊をびしゃりと叩く憎体面。かくてはいよいよかの婦人の身の上思い遣られたり、と得衛は屹と思案して、「....
春泥」より 著者:久保田万太郎
―だから訊くんだ。」 じれッたそうに田代はいった。 「ざまァみろ。」わざとそう憎体にいったあとで三浦はいった。「おせえてやろうか?」 「何をいやァがる。」田代....